実践指定校実践例 2012年度
新聞のコラムを使って社会を考える
宮城県水産高等学校(みやぎけんすいさんこうとうがっこう) |
教科、科目、領域 |
高校(高等専門学校を含む): 総合学習 |
---|---|
学年 | 高校(高等専門学校を含む) 1年 |
新聞のコラムを使って社会を考える |
文字情報に接する機会の極端に少ない生徒達に、コラムによって社会問題を理解させ、自分自身の考えを表現させる。 |
生徒に社会で起こっている出来事を知らせ、考えるきっかけとする。 |
本校の後期総合学習は普通科が担当することになっている。文字情報を極端に苦手とし、活字を通して情報を得る機会の少ない本校生に、短い文章を読ませることで社会問題を知らせ、それについての自分自身の考えを表現することで、言語能力の育成を目指そうとの合意を普通科内で得た。必ずしも、後期の全ての総合学習の時間をその形で使えるわけではないので、実際には10時間あまりであるが、担当者の使ったテキストを使い、1教室に2名の担当をおいて、きめの細かい指導に努めた。
第1時 |
NIEの研究指定校になる前も、教員の間には、生徒の活字離れと社会的な問題意識の希薄さとが心配されていた。朝学習の時間や、「書道」の授業における「天声人語」書き写しという第1段階を経て、書き写しや読み取りだけではなく、表現を目指しながら、そのための手段として読むこともするというやり方を望む声が強くなった。 |
1教室の担当者を2名とし、絶えず机間巡視をして、生徒の作業状況を見ながら個別のアドバイスが出来るようにした。また、新鮮な気持ちで取り組めるよう、日頃そのクラスに出入りする機会のない教員を意識的に配置した。回収後も、必ずコメントを付け、次回以降生徒が更に意欲的に取り組めるように努めた。 |
挿絵もないB4のプリントを前にすると、生徒は本能的な拒否反応を示す。しかし、自分の前にいる教員が、日頃接する機会のない他学年の教員であることが多く、新鮮な緊張感によって、多少は支えられたようである。取り組みの熱心さに個人差は大きかったが、意見文がわずか140字だったこともあって、なんとか書ききることの出来る生徒が多かった。
NIEに取り組んでみて、校内のあちらこちらで新聞記事が目に付くようになった。形となる実践ではなくても、そうして新聞が身近な存在となることは重要だと思う。
上の実践については、以下のような問題点があった。
・「天声人語」は難しい。
・1人だけでテキスト作りをすると、内容的に単調になりがちであった。
・回収し添削後、生徒の学び合い・意見交換の場を持てるようにすべきであった。
一方で、成果としては以下のような点が挙げられる。
・15名ほどの教員が問題意識を共有し、生徒の指導に当たるための起点となった。
・社会問題に触れ、考え、表現する貴重なチャンスとなった。
今後(今年)は、テキスト製作を回り持ちにするとともに、「総合学習」以外においても、意識的に新聞を使う機会を増やしたい。
実践者名:宮城県水産高等学校 平居 高志