実践指定校実践例 2012年度

新聞から入る授業

新潟市立上所小学校(にいがたしりつかみところしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 国語
学年 小学 5年
書き手の意図を考えながら新聞を読もう ~新聞記事を読み比べよう~
同じ出来事について違った視点で書かれた記事を比較することを通して、書き手の意図を考えることができる。
同日,同内容の新聞記事を,三つの新聞社から集め,違いを考えさせる。この「比較」によって,同じ話題を扱った記事でも,書き手によって内容に違いがあることが分かる。
新聞機能学習

1時限目 複数の新聞からトキを取り上げた記事を探し、スクラップする。
2時限目 見つけた記事を時系列に掲示し、読み合う。
3時限目 新聞について理解する。
4時限目 二つの新聞記事の共通点・相違点を整理する。
5時限目 見出し・写真・取り上げられた事実を関連付けて読み見取る。
6時限目 書き手のメッセージをまとめる。
7時限目 三つの新聞記事を比較し、書き手の意図を考える。
8時限目 気に入った記事を選び、書き手の意図を考えて、記事の紹介文を書いて友達に読んでもらう。

第7時

(1)トキ幼鳥の餌探しを伝える新聞記事A(トキ幼鳥の兄弟が仲良くじゃれ合っている内容)を読んで分かったことを出し合う。
(2)同じ出来事を取り上げた新聞記事B(トキ幼鳥の兄弟が仲良くえさ取りをする内容)を読み、記事Aとよく似ていることを確認する。
(3)同じ出来事を取り上げた新聞の記事C(トキの親はえさを与えず遠くから見ている内容)から、記事A・Bとは、違う内容を読み取る。
(4)記事Cの書き手のメッセージを短く書いてまとめる。
(5)3つの記事を読み比べてみた感想を交流する。

(1)記事A・Bは穏やかな印象を受けることを押さえ、記事Cとの違いを捉えやすくする。
(2)記事A・Bと似ているか、違うかの視点で記事Cに出会わせる。
(3)まず、見出し・写真など目に入った印象から、違いに気付かせる。
(4)記事Cの記事A・Bとの違いから、書き手の視点の違いに気付かせる。
(5)友達との交流を通して、自分が書いたものに自信をもったり、見落としていたことに気付いたりさせる。

(1)トキが巣立った頃の出来事であることや、幼鳥にとっての「巣立ち」や「えさ取り」の意味を理解した。
(2)写真、見出し、キャプションから、記事A・Bの要旨が似ているとの発言があった。
(3)記事Cは親鳥の「教育」に視点があり、外敵のことにも触れ、自然界での自立の厳しさを伝えたいことを読み取った。

【成果】複数の記事を比較の対象として教材化することは、どの記事からでもできるわけではない。授業者が日々の新聞を目的をもって読んでいく努力の積み重ねが今回の記事の教材化につながった。三つの記事が伝えたいことがらが違うことを見つけるため、児童は写真や見出しを手がかりにしながら記事本文を読み取った。同じ場所の同じ出来事でも、記者が着目した事象が異なることで、別の内容を伝える新聞記事ができあがることが分かった。
【課題】三つの記事から「書き手の意図を読み取る」ことを目的にしたが、5年学習指導要領では、「子どもが表現する際、意図を明らかにする」となっていて、目的の妥当性の検討が必要。読む活動にも書く活動にも目的意識が必要。何について読み比べるのか、児童にとって明らかになっていなければならない。

実践者名:新潟市立上所小学校 知本恵子