実践指定校実践例 2012年度

新聞記事から今日のEUを知る

横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校(よこはまこくりつだいがくきょういくにんげんかがくぶふぞくよこはまちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 地理
学年 中学 1年
世界の諸地域~ヨーロッパ州~
EUの利点や欠点について考え、新聞資料から今日的な課題を読み解く力を身につけさせる
デジタルと紙媒体の新聞の両方を活用する。
新聞活用学習

(1) ヨーロッパ州の国名・地形・気候について知識の整理。
(2) ヨーロッパ州の文化について知識の整理既習事項も織り交ぜながら)。
(3) EUの利点や欠点を考え、記述する。
(4) 資料からEUの現状や問題点を読み取り記述し、説明する。
ヨーロッパ州の産業について概観する。
(5) EUに関する新聞記事の要約を分かりやすく説明し、今日のEUを知る。

第5時

本単元ではまとめとして、新聞を活用した授業を展開した。生徒が自分でヨーロッパ州の記事を新聞から選び、発表した。それをきっかけとして,「なぜこのような問題が起きるのだろうか」「いつからこの問題は続いているのだろうか」などといった生徒の疑問について調べ、深めていく活動をおこなった。第5時で調べたり他者の発表を聞いたりして得た情報が、学年末の探究的な活動へとつながることを意識した。生徒の活動としては、発表・調べ・意見交換となり、言語活動の場面を意識的に増やした授業構成とした。

新聞を家庭で購読していない生徒もいるので、学校のPCから朝日新聞デジタルに接続できるようにし、対応した。また、朝日新聞デジタルが学校で購読できるようになったので、紙の新聞とデジタルの新聞の比較もできて有意義だった。
また、地理的な視点から記事を選ばせないと、スポーツの結果などの記事を選ぶ生徒が出てしまうので、目的をしっかりと伝えることも大切であると感じた。

教科書に載っていない「今」のヨーロッパ州(EU)が分かるので、とても意欲的に学習活動ができていた。また、自分の興味もある程度反映できるので、「なぜこの問題が起きているのか」や「もっと調べたい」といった感想が目立った。

ねらいの「今日的な課題を読み解く」というところまで達成できた生徒はやや少なかったが、ヨーロッパ州やEUに関心をもつことができた生徒がほとんどであったので、その点は成果といえる。また、今回の授業で感じた「疑問」を実際に年度末の「世界のさまざまな地域の調査」に活かせた生徒がいたことも大きな成果である。
しかし、表面的な理解で終わってしまったり、深く調べられなかった生徒がいたので、課題の設定や記事の選び方などの指導をもう少し丁寧に行う必要があったと感じた。この課題を他の単元で新聞を使うときの教訓としていきたい。

実践者名:横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校 林 達郎