実践指定校実践例 2012年度

新聞コラム・社説を利用した進路実現に向けての文章力を身につける実践

雲雀丘学園中高等学校(ひばりがおかがくえんちゅうこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 総合学習 、キャリア教育・進路指導
学年 高校(高等専門学校を含む) 3年
新聞記者の書かれたプロの文章から,入学試験に向けた文章力を学ぶ
大学入試の小論文を代表とする記述形式の回答にそなえ 1)文章を単純に書き写す 2)自らの考えをまとめる 3)文章を要約する という三段階で記述力を育成する。
新聞活用学習

第1段階 実践者が任意に選んだ新聞コラム(「正平調」など)を書き写す
第2段階 新聞コラムを読んで考えた感想を書く
第3段階 任意の社説記事を10分間で100字以内にまとめる

第0時

毎週水曜日の朝礼前~朝礼時間を利用して,その週(できればその日)の新聞コラムを転載,下にマス目を用意したプリントを配布する。また,裏面には感想を書く欄を用意する。
裏面の下半分には社説の記事を転載し,内容を100字以内で要約する欄をつくる。

1) 新聞コラムの書き写し
 新聞コラムの文章を一字一句そのまま書き写す。
2) 新聞コラムの感想
 その日書き写した新聞コラムの感想を裏面の感想欄に自由に記述する。
3) 社説の内容要約
 社説記事を100字以内で要約する。

以上の内容を毎週B4・1枚のプリントにまとめて実施する。
1)2)については朝礼前に教卓の上においてあるプリントを各自が教室に入った際に取ってやり始め,3)については朝礼開始とともに実践者(学級担任)が計時したうえで取り組む。
出来上がったプリントは回収し,コラム書き写しは確認・捺印,社説書き写しはコメントを書いた上で終礼時に各人にプリントを返却する際に,優秀な4~5枚をまとめたプリントを同時に配布する。

工夫として書き写し・要約は横書きで書かせた。
コラム・社説記事の選定については,なるべく内容に偏りがでないように,政治・経済・社会・スポーツ・文化・科学など全般が網羅されるよう留意した。また,新聞社についても兵庫県6紙と時には他県の地方新聞,スポーツ紙のコラムを題材にした回もあった。
社説は回によっては,同じ題材の記事を論調の異なる2つの新聞社のものを転載し,一方を選択させるなどの工夫をした。

書き写しは非常に単調な作業であり,生徒もこちらが意義や取り組み方を丁寧に指導しなければ,おざなりになりがちである。また,社説の要約についても,実践当初は何から手を付けて良いのかわからないといった風であったが,他の生徒のものなどを見てコツを掴んできた後は,スピードも内容もそして取り組む意欲も格段に良くなったのが見て取れた。

2年前から継続して取り組んできたこともあり,新聞の書き写しについてはスピードや文字の丁寧さなど,非常にスムーズにできていた。感想については,それぞれの生徒の興味・関心によってしっかり書けている回とそうでない回が顕著に分かれる場合が多かった。
今年度から実施した社説の要約については,最初は10分間という時間的制約があり欄を最後まで埋めきれない場合や,100字という文字数の制約によりまとめきれない場合が多くみられたが,徐々に改善された。特に,他のクラスメイトの良い要約の例をまとめたプリントを配布し始めてからは,それが非常に参考になったようで達成率が飛躍的に向上した。
実践の成果がどれだけ実際の入試の結果に結びついたかはわからないが,後の小論文などの指導は例年に比べスムーズだった。

実践者名:雲雀丘学園中高等学校 川口隆行