実践指定校実践例 2012年度

新聞を活用し、体験から得た学びを深める。

県立武庫荘総合高等学校(けんりつむこのそうそうごうこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): キャリア教育・進路指導
学年 高校(高等専門学校を含む) 1年 、2年
朝のSHRを中心に継続的に記事を読ませ、文章作成へとつなげる。
新聞掲載の文章と自己の体験を関連づけ、感想や意見を発表する力を育てる。
入学当初は投書を中心に自己肯定感を高める素材選びに努め、次第に多角的なものの見方や構成を学べる記事や文章を探す。
新聞活用学習

朝のSHRで週2回「ManabeeMorning」を配布し、高校入試の時期にはやや長めの記事を載せたものを持ち帰らせ、年間50号、2年間で100号に達するまで継続する。短い感想を書かせたり、持ち帰りの場合はその文章に合わせて作ったワークシートの提出を課すこともある。まなび支援室だよりにいくつかの生徒作品を載せて、フィードバックするよう心がけている。

第4時

2年次の持ち帰り課題(2013年3月実施)掲載の文章に関連した活動を報告する(まとまった文章を書かせる課題としては、年間で第4回目になる)。
(1)「JICA国際協力高校生エッセイコンテスト2012」入賞作品(産経新聞2013年3月9日掲載)の全文を読ませる。
(2)「文章が完成するまで」という見出しで、生徒と同年代の筆者が自らの海外体験から学んだことを伝えるために凝らした工夫を知る手がかりとして、空欄補充型のワークシートを作成し、キーワードや重要な語句を書き込ませる。
(3)その展開図を参考に、自分自身の体験を題材にして意見文を作らせるに際し、「アウトライン作成シート」に基づき、箇条書きのメモを作らせる。
(4)体験から見えたきた課題を、問いの形式で提示し、問題を解決するにはどうすればよいか、「私の提言」を400字で完成させる。

感想文を書いて終わりにするのではなく、小論文指導にもつながるような新聞課題を考えてほしい、という年次の要望を受け、家庭学習として無理なく課題に取り組めるような流れを考えて実施した。

感想文の時に散見された通り一遍の作文が減り、提出状況も良好であった。個々の作文からは、心を揺さぶられた体験を思い出し、そこから得た考えを自分の言葉で伝えようとする意図を汲み取ることができ、生徒も400字を書ききったという手応えを感じていたようだ。

高校入学後のGW課題から2年次末まで、合計7回の新聞課題を出してきた。朝のSHRで週2回、まとまった短い記事を読ませる活動も、2年間で100号に達した。教科で実施する場合と違い、指導前後での介入が難しく、活動成果の手応えを十分得られたとは言い難い。しかし第3回「一緒に読もう!新聞コンクール」で高校部門の最優秀賞に本校生が選ばれたり、新聞掲載の文章に触発されて書くという今回の課題に多くの生徒が前向きに取り組んだりする様子を見ると、新聞を読んで自分と社会をつなぐチャンスを得ようとする生徒が着実に育っている。一方で、今回の課題でいうと、提言が個人的な思いの域を出ず、なかなか普遍化には至らない実態がうかがえる。社会を知るうえで、もっと新聞から学ぶ教育活動を進めていくことが課題である。

実践者名:県立武庫荘総合高等学校 川村道雄