実践指定校実践例 2012年度

「教育にプラスα新聞を」　～ディベートの立論作成や証拠資料に新聞を活用する～

私立メリノール女子学院高等学校（めりのーるじょしがくいんこうとうがっこう）

教科、科目、領域

 高校（高等専門学校を含む）： その他（学校選択科目）
学年 高校（高等専門学校を含む） 3年
ディベートの論題に対して、意見を述べられるようにする。
根拠の裏付けとなる資料を探し、自分の主張に根拠を持たせる。また、客観的、批判的、多角的な視点を身に付けさせる。
授業時に新聞を用意し、立論作成時に配布できるようにする。また、見出しの読み比べを行い、時事問題に関心を持たせたり、多角的な視点を身に付けさせる。
新聞活用学習

ディベート（試合）前の2週間程度を準備期間とし、その間に班で話し合い、新聞、書籍、インターネットを活用し、立論を作成していく。年間３単位で合計４～５試合を予定している。

第６時

（１）論題を決める
「原子力発電所の廃止の是非」「TPP参加の是非」など、時事的な論題を中心に教員が設定するが、時には生徒から論題を決めてもらう事もある。
（２）根拠となる資料を探す
新聞を中心に、肯定側・否定側それぞれに対して、根拠となる資料を探す。
（３）新聞読み比べ
立論を作成していく中で、新聞記事にも主張の違いがある事に気付かせ、多角的な視点を身に付けさせる。
（４）ディベート
ディベートでは、肯定側立論→否定側質疑→否定側立論→肯定側質疑→否定側第一反駁→肯定側第一反駁→否定側第二反駁→肯定側第二反駁→ジャッジの順番で進む。

（１）新聞の位置付け
新聞だけを取り上げるのではなく、あえて「様々なツールの中に新聞もある」という位置付けにしている。同日の記事の中から、「見出し」や「コラム」の読み比べができたり、根拠となる信頼性が高い事をディベートを通じて学んでもらう工夫を行っている。
（２）ディベート
試合では、立論の完成度、的確な反駁が勝敗を左右するのは当然であるが、それ以外でも、話し方やマナーなども重要になる。

普段は新聞よりも、利便性の高いインターネットを検索する方が慣れており、実践当初は新聞を活用する生徒は少なかったが、ディベートを通して、新聞の見出しやコラムに目を通す生徒は増えてきた。また、新聞に慣れる事で、結果的にAO入試などの大学受験でも成果につなげる事ができた生徒もいた。

NIE実践指定校１年目で、授業の中で新聞をどのように活用していくかを試行錯誤していたが、ディベートの授業で自然と新聞を活用し、従来の授業にプラスαの効果を生み出す事ができた。また、ディベートの授業だけでなく、中日新聞社主催の新聞切り抜き作品コンクールにおいて中日大賞を受賞する等、新聞を活用し、成果につなげる生徒が増えてきた事は嬉しく感じる。課題としては、新聞との日常的な関わり方の変化である。授業だけでなく、日常的に生徒が新聞と向き合えるような運用方法を確立し、新聞を通して様々な現代社会の時事問題に関心を持つ生徒が増えていく事を期待している。また、２年目は国語科とも連携を持ち、情報を共有しながら、授業の中で新聞をより身近なツールとして生徒に利用させていきたい。

実践者名：私立メリノール女子学院高等学校 伊達功治