実践指定校実践例 2012年度
文化面を評論の教材として読む
滋賀県立水口東高等学校(しがけんりつみなくちひがしこうとうがっこう) |
教科、科目、領域 |
高校(高等専門学校を含む): 国語 、総合学習 |
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学年 | 高校(高等専門学校を含む) 2年 |
ディベートや小論文作成に新聞記事を生かす |
多角的な思考の材料として新聞記事を読む。日々のニュースだけでなく、論説文や投書、文化面の記事などさまざまな資料を読み込み、思考を深める。 |
毎日の朝のHRで担任からその日の担当者に新聞を手渡す。担当者は記事をスクラップして意見を交換し、さらに持ち帰って家族で読むなどして広く新聞に親しむ。 |
9月から毎日の新聞とスクラップのためのファイルを担任よりその日の担当者に手渡す。担当者は文化面を中心にまとまった記事をスクラップして感想を書き、さらに友人二人に感想を書いてもらって翌日提出する。この一連の作業を1月まで継続して行った。また長期休業中には課題として同様のレポートの提出を求めた。教員も生徒も、特に大きな負担を感じることなく、新聞に親しむことができた。また意見を交換したり、他人が注目した記事を読んだりすることによって、視野が広がった。
第3時 |
「はじめてのディベート」 |
ディベートのルールや方法を知り楽しくディベートを行うことと、資料を読み込むことの二点に力を入れた。準備にあてた二時間の多くは役割分担と資料の読み込みに費やしたが、ディベートの実践までに、スクラップなどで新聞記事に親しんでいたためか、資料探しや話し合いなども比較的スムーズにできていたように思う。司会進行なども生徒に任せ、生徒中心の楽しい時間になるように心がけた。 |
自分たちで別の新聞記事を探してきて根拠にするなど積極的に取り組んでいた。自分の意見を正確に伝えるためには、根拠を明確にし、それらを論理的に組み立てて提示することが必要であるが、新聞に親しむことでそのような思考法の訓練ができていたと思う。 根拠を明確にして誠実に議論を深めていこうという意識が強く、最後の審査においても「どちらがより論理的で説得力があったか」という観点から慎重に議論していた。
「普段はあまり新聞を読まないが、この機会に読むことができてよかった。」「新聞に親しみやすくなったし、新聞を読むときに特にどこを見ればよいかわかるようになった。」「初めは沢山ある記事の中から一つを選ぶのは大変で面倒に感じていたが、長期休暇中にしたときは特に記事選びのために毎日読んでいたことで新聞を読むことが習慣化されて新聞はおもしろいものだと思えるようになって良かった。」「普段自分が読んでいる新聞と違う新聞を読めたので、同じ記事でも違う見方があることに気づいた。」等生徒の反応は概ね好評であった。新聞記事のスクラップリレーは初めての試みで、うまく回るのかどうか心配されたが、杞憂に終わった。「新聞の面白さ」が生徒を動かしたと思う。今回新聞に親しんだ経験が今後に生かされることを切に願うものである。
実践者名:滋賀県立水口東高等学校 三木 由美子 坂 佑美