実践指定校実践例 2012年度

NIEで作る確かな国語力 - 共同学習を通して作る自分、そして世界-

私立駒澤学園女子中学・高等学校(わたくしりつこまざわがくえんじょしちゅうがくこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 国語 、公民 、総合学習 、キャリア教育・進路指導
学年 中学 1年 、2年 、3年 /高校(高等専門学校を含む) 1年 、2年 、3年
受信・思考・発信・メタ認知で要約力を作り、論理的思考力を養う。
情報を整理・要約して考えをまとめ発表することを通して、論理的思考力を培い、主体的に学ぶ姿勢を養う。
4コマ漫画、政治コラムなどを題材に定期的に継続する。校舎の各階に新聞を掲示するコーナーを設けたり、NIEタイムを作って全校的に関心を高める環境を整える。
新聞制作学習 新聞活用学習

朝の帯学習や家庭学習を含めた通年の、かつ生徒の発達段階に応じた継続的な学習活動。

第20時

校舎内の3か所に新聞を掲示したり手に取れるコーナーを作り、全校的に新聞への関心を高める環境を作っている。一方、中学1年から高校3年までの全学年にNIEを担当する教師がおり、全学年でワークシート通信やオリジナルシートに取り組んでいる。方法は、学年によってさまざまであり、大切なのは継続することだ。担当した高校3年では、選ぶ記事に偏りが出ないように学年を担当する10人の教員が持ち回りで原則的に毎週水曜の朝学習として実施した。私が直接担当した難関大学を目指すコースでは、1校時の前に「0時間」という自主学習の時間を設け、自作のワークシートを課していった。政治コラムなどを題材にして、1・200字で要約、2・4コマ漫画にする、3・短歌に詠む、という3通りの方法を基本に要約したうえで意見を200字にまとめさせた。コラムなどを読んで論理展開をたどり(受信)、情報を整理・要約して考えを出し合って議論し(思考)、発表する(発信)ことを通して論理的思考力を培う狙いが、ひいては生徒が主体的に学ぶ姿勢を養うことにつながった。

環境を作ることが大事だ。NIEに限らず、学校教育におけるチームワークの構築には、焦らず、それを楽しんで工夫する螺旋的な円運動を描いていくのがいい。

対象生徒の発達段階に応じて、無理なく継続的に、という姿勢が功を奏している。担当した高校3年生では、AOなど公募型入試への自信を作った。自分の身の回りのことだけでなく、ニュースなどを話題にする生徒が増えてきており、社会への関心の高まりを感じている。

直接担当した難関大学を目指すコースの生徒は、全員が満足した入試結果を作った。また、高校3学年全体としてもMARCHクラスへの大学進学率が急上昇した。そしてそれらの立役者は、中高の6カ年在籍した生徒たちであった。中学入学以来の6年間に渡って、国語科の指導の基本は教科書教材を出発点として、新聞や読書へと活字文化に発展させたことが出口の結果作りの1助となった。何よりも、社会科などの他教科でも新聞を意図的に取り入れていくような、全校的なNIEに高まってきたことが成果である。従ってこの報告は、誰でもがすぐにできるNIEへの取り組みではない。しかし、教育は促成栽培ではないということを改めて教えてくれた。その意味での参考にしていただけたら、幸いである。

実践者名:私立駒澤学園女子中学・高等学校 稲津 惠子