実践指定校実践例 2012年度

新聞を活用した総合的な学習の時間の創造

徳島市川内中学校(とくしましかわうちちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 総合学習
学年 中学 3年
「職業・進路 15歳のハローワーク」
総合的な学習の時間において、新聞を活用した授業を計画した。キャリア教育の一環として職場体験を実施するに当たり、新聞を通して必要な情報を収集させようと考えた。
六紙の新聞を使って、様々な仕事に関する記事を収集させた。特に自分の興味を持っている仕事について、必要な資格がどのようなものであるかなどを調査する手立てとした。
新聞活用学習

・今まで集めた新聞記事や学校にある6紙の新聞を用いて、自分に興味のある仕事に関する記事を切り抜き収集する。(2時間)
・収集した記事を読み、仕事に就いたきっかけや仕事にかける思いを読み取り、ワークシートにまとめる。(1時間)
・「15歳のハローワーク・スクラップブック」に貼付していく。(2時間)
・グループでまとめた「15歳のハローワーク・スクラップブック」について、気づいたことや感想を話し合う。(2時間)
・学習をふりかえり、自分の感想や意見をまとめ、進路決定の参考にする。(1時間)

第5~9時

1 5月25日の授業
新聞を活用する際、「ひと」欄だけでなく、徳島新聞「阿波っ子タイムス」には毎週土曜日に「この人この仕事」という記事が連載されており、多種多様な仕事に就いている人々を特集していることや、「ピープル」欄などからも仕事についての情報が得られることなども紹介し、新聞の隅々まで目を通して情報収集し始めるようオリエンテーションした。
2 6月7・13日の授業
 生徒達は、教室に持ち込まれた新聞を読み進めていったが、 2週間の間に記事の切り抜きを収集していた生徒達もたくさんいた。
 友達の興味を持っている仕事に関する記事を見つけた生徒の中には、「この記事も読んでみたら?」と友達に差し出す者もいた。また、新聞記事を読んで、ワークシートに仕事の内容や必要な資格、気づきや感想を書き込み始める生徒もいた。
3 6月14日の授業
 「15歳のハローワーク・スクラップブック」にレイアウトに工夫を凝らしながら、生徒達は新聞記事やワークシートを貼付していった。作業をしながら、生徒同士でお互いのスクラップブックを読み合ったり、「この新聞記事の上に見出しを書き入れたらよくわかると思うよ」「私は自分の感想や気づいたことを箇条書きにして色分けして書いてみたよ」「僕は必要な資格とどうすればその資格を習得できるかということを字の大きさを変えて書き表してみたよ」など、それぞれの工夫点について話し合っていた。  

 昨年度、国語科の授業で新聞スクラップ作品を制作した際、新聞の「ひと」欄を取り上げたグループがあった。そこには仕事に生き甲斐を感じていることが読み取れる記事がたくさん切り抜かれていた。オリエンテーションでは、その作品を例示しながら、本単元のねらいについて説明し、生徒が意欲的に活動できるよう配慮した。
 

 当初は、生徒達は新聞を切り抜くことにずいぶん抵抗がある様子だったが、自分が選択した記事を切り抜くことにおもしろさを感じるようになってきたようである。また、自分の選択した記事をどのようなレイアウトで仕上げていくかといった工夫を凝らす作業のおもしろさにのめり込むようになった生徒もいる。できあがったスクラップブックは、15歳の今を映し出している貴重な記録であることに喜びを感じている生徒もいた。

 当初の計画では、3年生の「職業と進路」の中で職場体験を実施する予定であった。しかし、計画段階で3年生の1学期という時期の実施には困難が伴うことがわかってきた。そこで、急遽職種を保育士、実施場所を校区内の幼稚園や保育園に絞っての職場体験という形に変更せざるを得なかった。キャリア教育は避けて通れない分野であり、生徒達の進路決定に及ぼす影響は大きいため、職場体験の実施学年を2年生に変更するカリキュラムを編成し直す必要が出てきた。
 今後、2年生での実施の可能性について、今後カリキュラムの再検討を図っていきたいと考えている。

実践者名:徳島市川内中学校 立石 ユキ