実践指定校実践例 2012年度

新聞作りを通して、時代の特色を理解する歴史学習のあり方

小諸市立芦原中学校(こもろしりつあしはらちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 歴史
学年 中学 1年
古代国家の成立と東アジア
日本の縄文時代から稲作の広まりによる人々の生活の変化に気づき、東アジアとの関わりながら国家が形成されていく過程を、新聞に表現し、時代の特色をつかむことができる。
「新聞記事」の作成では、限られた文字数で情報を思考・判断しながらまとめていき、「見出し」には各時代のキーワードを表現する。
新聞制作学習

全7時間
1時間目 縄文時代の人々の生活の様子を調べ発表する。調べた内容から、2~3つのキーワードを挙げ、そのキーワードの説明を原稿用紙に記入する。全員で縄文時代を端的にまとめたリード文を考える。
2時間目  前時の内容をもとに、記事と見出しを作る。縄文時代の特色を示すキーワードを考える。
3時間目~5時間目 弥生時代・古墳時代についても上記と同様に展開。
6・7時間目 それぞれの時代の記事をレイアウトしながら「原始・古代新聞」を作る。原始・古代の特色を表す大見出しを考える。

第2時

(1)前時の学習内容と学習問題「縄文時代はどんな時代だったのだろう」を確認する。
 前時の学習内容の記載された模造紙を掲示しながら、内容を確認する。
(2)新聞記事を作成する。
 新聞の書き方についての模造紙を掲示し、確認できるようにする。
 前時に作ったリード文の後に続く記事を書いていく。その際に、縄文時代の特色をつかむために選んだ2~3つのキーワードとそれを詳しく調べた取材カードを参考にする。
 見出しの役割(新聞記事の内容が一目で分かるもの)を確認する。
(3)見出しを発表する。
 意見が出された時には、その見出しを付けた理由を問い返すことで根拠を明確にしていく。
(4)縄文時代の特色を表現する。
 「縄文時代とは○○な時代である」の○○に当てはまる言葉を、自分で作った見出しや友達の作った見出しの根拠を参考にしながら考えまとめる。

 新聞記事がスムーズに書けるように、リード文や記事の内容は事前に書き出しておく。また、「新聞記事の書き方」を明記しておき生徒が確認しながら記入できるようにする。また、生徒が作った見出しはその根拠を問い返していき、その時代の特色をより明確につかむことができるようにする。

 本時は下調べをしたうえで、記事を作る作業だったため、スムーズに書くことができていた。書き手、読み手、両方の視点に立てることでその時代の特色をつかみながらもさらに良い表現はないか考える姿があった。しかし、文章を書くことに慣れていないせいか、句読点の打ち方や段落の使い方等で困難に感じている生徒もいた。

 新聞記事の作成を通して生徒が、字数や形式という制限の中で分かりやすい表現を工夫していくことは有効であった。また、時代の特色をつかみ、見出しやキーワードに端的に表現することができていた。さらに、見出しの根拠を生徒が発表する場面では、考えがより明確になり、その時代の特色を理解することができ、ほとんどの生徒が自分なりの答えを出すことができた。
 課題として、書く力、まとめる力、表現する力など継続しながら取り組んでいく必要がある。新聞作成に当たっては、新聞の作成方法や文章能力等、事前指導を適切に行いながら、時数配分を無理のないよう組んでいく必要性がある。そのため、見通しを持った単元展開が必要である。

実践者名:小諸市立芦原中学校 山科亮太