実践指定校実践例 2012年度

ノーベル賞と山中教授

新潟市立女池小学校(にいがたしりつめいけしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 理科 、道徳
学年 小学 1年 、2年 、3年 、4年 、5年 、6年
なし(特設のため)
山中教授ノーベル賞受賞の新聞記事の読み取りを通して,あきらめないで努力し続ける大切さに気付く
新聞の速報性を生かしたこと,子ども新聞を活用したこと,子どもの思考の補助となる補助資料も用意したこと,読み取る箇所を限定したこと
新聞活用学習

山中教授のノーベル賞受賞の報道があったことを受けて,トピック単元として実施。1時間扱い。報道では,山中教授がいくたびもの苦労の末受賞したことやその人柄のすばらしさをとりあげてもいたので,賞のすごさと山中教授の生き方を授業することが,子どもたちのためになると考えて実施した。今回は,6年生の理科の発展学習および,道徳的価値への気づきを狙って合科的に授業を実施した。

第1時

1 山中教授の写真をみて,誰なのか考える 

2 写真の人は山中教授であること,先日ノーベル賞を授業したことを知る。(記事の大きな写真や見出しを子どもに見せる)

3 ノーベル賞とはどんな賞か,新聞記事から調べる(記事のコピーを一人一人に配り,自力で読み取りをさせ発表させた)

4 iPS細胞とはどんなものか,考える(子どもは名前は知っていたがどんなものかはよく知らないということを確認するための問いなので,答えられなくてもよい。)

5 新聞からiPS細胞について書いてあることを探して線を引く
(書いてある場所を教え,そこから探すように指示をした。)

6 山中教授がどんな人か,新聞記事から読み取って発表する。

7 受賞記者会見の言葉を紹介し,山中教授の人柄を考える。

8 受賞まで苦労があったかどうか,予想する。

9 研究者としての苦労について,教師の説明を聞く。(別の資料を提示)

10 受賞記者会見の言葉をもう一度紹介する。(「日本という国が受賞した」という言葉の意味をもう一度考えさせる)

11今日の授業の感想を書く。

1 新聞記事は,一度にすべて提示せず,必要な部分を分割して提示する。

2 一人一人が読み取るので,児童数分の新聞を印刷する。

3 小学生なので,記事は「子ども新聞」を使用する。(本時は,自力での記事からの読み取りをかなり行ったので難解な言葉で書かれた大人用の新聞は適さない)

4 記事だけでは理解が難しいところについては,映像資料などを用意し,子どもの理解を助ける。

 話題の人,話題の記事を取り上げたことで,子どもたちはとても意欲的に学習した。
 また,子ども新聞を使用したので,子どもたち自身の力を新聞の読み取りを進めることができた。
 さらに新聞記事を補完する資料(写真・映像など)を使用したことで,やや難しい内容を扱うときも,子どもが十分に理解したことを確認した上で進めることができた。
 子どもたちは,最後まで集中し,授業を受けることができた。

子どもたちは,最後に書く感想で次のようなことを書いた。「山中さんは,ノーベル賞を受賞するまでに整形外科の夢がざ折したり,研究者になっても,研究するためのお金を減らされそうになったり,実験に何度も失敗したり,いろいろな苦労を乗り越えてノーベル賞を取れたのは,あきらめなかったからだと思い,ぼくもいろいろなことにあきらめないでやろうと思いました。」このような感想を多くの子どもが書いており,授業のねらいは達成できた。NIEに取り組んでみて,新聞の速報性は教材活用をする上で有効だった。大きな写真などを比較的容易に入手して授業化できる良さも感じた。また,動画や写真など,補助資料を使うと記事をより有効に活用できることも確認できた。唯一残念なのは全員がカラーの記事を使用できなかったことである。

実践者名:新潟市立女池小学校 原口博昭