実践指定校実践例 2012年度

わたしはこう考える

中津市立中津中学校(なかつしりつなかつちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 国語
学年 中学 3年
わたしはこう考える~時事問題に目を向けよう~
社会生活に目を向け、新聞に盛り込まれた情報を比較して読むことで自分の考えを深める。論理の展開を工夫し、資料を吟味して引用するなどして、説得力のある文章を書ける。
班ごとに5紙ずつの新聞記事と社説を準備する。5紙は同じ日の同じ出来事に関する記事と社説。
新聞活用学習

(1)新聞記事を比較して読み解こう。(2時間)
(2)(1)の記事に関する社説を比較して読もう。(3時間)
(3)テーマを決めて文章の構成を工夫しよう。(1時間)
(4)意見文を書こう。(1時間)
(5)推敲しよう。(1時間)

第1~7時

1,五紙の記事(9,15日付)を比較する。見出しやリード文の違い、「戦略」の問題点などを比較し、わかることなどを考える。
2,同じ日の同じ記事内容について書かれた社説を5紙比較する。意見と事実に分け、どんなことを伝えようとしているのかを比較する。比較する中で、それぞれの社説の評価できる点や評価できない点を挙げ、検討する。
3,各自テーマを決め、説得力のある文章にするために、論の展開を工夫する。記事に根拠を求め、自分なりの理由を構成する。
4,テーマに沿って、書き出しの工夫をして、意見文を書く。中学生の考える社会問題として、社会に意見を発信する。(各紙に新聞投稿)

政府の政策に対して日頃は無関心だったり、難しすぎて敬遠していたりする中学生が、一人ひとりに記事を配布し、ラインを引いたり、班で学び合ったりする中で、記事とじっくり向き合うことができるようにした。さらに、同じ事柄について述べた社説を読み解くことで、生徒たちにとっても「エネルギー問題」は身近なことであるという認識を深めさせたい。

原発問題を学習したことはほとんどなく、しかも政策記事は専門用語も多くて、読み解くことに苦労したが、記事を読み解くことによって、社説の読解もスムーズに行えた。また、記事や社説を比較して読むことで、新聞社による記事の書き方の違いや、主張の違いによって、表現も異なり、読み手が受け取る印象も大きく変わることを学んだ。

全校でNIEに取り組むことで、生徒にとって新聞がより身近な存在になってきた。特に、週一回の「朝コラム」や「コラム視写」、「今日の気になる記事」掲示などで、朝から新聞に触れたり、今の世の中のニュースに敏感になったりして、生徒の「目」が少しずつではあるが、社会へも向けられるようになった。取り組む以前には、新聞の記事が話題にのぼることはほとんどなかったが、「今日の第一面は…。」や「○○のことが出ていた。」という会話も出てきている。また、新聞を使って文章を書かせることで、文章表現の工夫が見られたり、説得力のある文章が書けるようになった生徒が増えた。今後は、生徒が書くための題材が豊富で、思考を深められる新聞を多くの場面(教科)で活用して、NIEの可能性を広げていきたい。

実践者名:中津市立中津中学校 甲斐瑞穂