実践指定校実践例 2012年度
【万物我が師】-「新聞活用実践」(ENIE)を通じて学べること
国立 小山工業高等専門学校(こくりつ おやまこうぎょうこうとうせんもんがっこう) |
教科、科目、領域 |
高校(高等専門学校を含む): 外国語 、その他(時事英語演習) |
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学年 | 高校(高等専門学校を含む) 1年 、4年 |
英語:時事英語演習 |
「Cooperative Learning(協同学習):『時事英語』授業」:学生主体で教員が支援者となる「自主学習方法(Independent Study)」 |
日本語の新聞で内容の背景を読み取りながら、同時に英字新聞も活用することにより、英語による表現の仕方の違いや、英語の学習も並行して学ぶ |
教員が提示した「政治・経済・社会・芸能(地域)・スポーツ」という分野に即した内容の「英文記事」を用いつつ、原則的に英語による発表をしながら、ただ一方通行に語りっぱなし(講演・講義)になるのではなく、聴衆(他の学生たち)にも考えさせたり、共に音読をしたりする相互通行の「授業」を行う事を取り決めとした。
実践時数は、1学科につき5時限分(1回40分)で行った。
第1時 |
通常の授業時間は1時限分50分であるが、そのうち40分を学生主体の授業展開とし、残りのうち最初の5分は「先生役」の学生たち(以下「先生」)による授業実践の感想と、その授業を受講した学生の感想(改善点・よかった点)を相互に言い合い、後半の5分は教員からの改善点と良かった点の感想を述べるという形式を取った。挨拶の後、「先生」達による授業内容の解説と称して英文のModel Readingに次いでChorus Readingを行い、その後、英語文記事中に作成した穴埋めについて学生各自に考えさせたり、指名をして答えさせたり、さらに「先生」達からの英文解説などを展開していった。英字新聞はインターネット上から配信されるAsahi.comやDaily Yomiuri,また、Japan Timesなどが取り上げられた。中には日本国内における「衆議院議員選挙」の結果に関する感想を英語で配信されているチャットから引用してきて、「各国の反応」と称しての内容読解を取り上げた班(政治班)もあった。最後に「本時のまとめ」を述べて、「先生」達の授業は終了した。その後、各自の感想が5分間以内に述べられ、そして総括として、教員からの改善点や評価される点などが述べられた。 |
一方的に語りっぱなし(講演・講義)になるのではなく、聴衆にも考えさせたり、共に音読をさせたりする相互通行の「授業」を行う事を取り決めとした。この手法は常に受け身となり、教員が教え、学生が習うといった「受け身」の体制ではなく、学生が主体となって授業を作り、教員は支援者(Facilitator)になりながら、学生自らが「自主的に学ぶ方法(Independent Study)」の形式を取っている。 |
徹夜同然でスライド作成や記事の収集に奔走した者達ほど「楽しかった」「面白かった」という感想を述べた。「これまで未知、無関心の事が、英字新聞の記事収集実践を通して、興味を湧かせてくれた。更に『授業』をする大変さや面白さも知れた。『授業』を創り出す『先生』の苦労の一端を感じる事ができた。」「新聞は知識を大いに与えてくれる。そのような意味で、これからも新聞には機会を見つけて目を通していきたい。」
成果としては「共同学習」は学生からの授業への【気づき】という点で効果的であることがわかった。今後はいっそう「英文記事」を中心とした「新聞」に対して関心を広げさせるために、「日経ウイークリー」という英字経済新聞を定期的に購読させて、日本の国内外における経済情勢を、英語を通じて理解させる事を来年度の主眼とする。その補足情報として「日本経済新聞」を中心とした経済紙や一般紙を活用し、より幅の広い「ENIE実践」を繰り広げていく所存である。ひいてはそれが彼らの身近な目標で ある、ビジネス英語を主体とした「TOEIC」テストでの高得点獲得につながっていくものである事から、単なる「テスト対策」に留まらない、真のビジネス英語の読解を習得させるべく、今後とも「ENIE実践」には邁進をしていく事を臨む。
実践者名:国立 小山工業高等専門学校 山西敏博