第10回 ノルウェー・フィンランド(2008年8月)

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11府県16人のNIE実践教師がオスロ、ヘルシンキを訪問し、学校の授業を参観、新聞社や新聞博物館などの施設を訪れた。新聞社等から5人が同行した。

視察概要

「NIEニュース」第53号(2008年10月15日発行)掲載

今回の視察団は8月24日から31日までノルウェー、フィンランドのNIE事情を視察した。この2か国は日本と並び世界でも有数の新聞大国であり、特にフィンランドは近年、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)で好成績を修め注目されていることから訪問先に選んだ。

子ども独自の情報発信

ノルウェーで訪問した新聞社はドラメンス・ティンダーダ紙(Drammens Tidende)、スモーレネス・アビース紙(Smaalenes Avis)、オストランディンゲン紙(Ostlendingen)の3社。いずれも首都オスロ郊外の新聞社で、ドラメンス・ティンダーダ紙は発行部数約4万部・同国9位の新聞(「ノルウェーデータ2008」同国外務省)で、ほかの2社と同様地元密着の新聞だった。若者対策としては、オストランディンゲン紙が、子どもたちだけで記事の執筆から広告集稿、販売までを手がける新聞「Eleverumsposten」の発行を支援するなど、各社で様々な工夫をしていることが印象に残った。

ジャーナリスト体験施設であるメディアラボのほか、ソーバッケン(Sobakken)、リリモエン(Lillemoen)のふたつの小学校、オーモット・ウンダム(Amot ungdomsskole)中学校を視察。今回視察先を選定したヤン・ステーン氏(元ノルウェー・メディア・ビジネス協会NIEマネジャー)が「日本の視察団には先進的な事例を見てもらった」と話したとおり、子どもたちが自ら取材し、独自の新聞やサイトを通じて情報発信する、いずれも高度な内容のものだった。

「読む」習慣に支えられ

フィンランドでは、新聞博物館(Paivalehti Museum)、学校博物館、ヘルシンギン・サノマット紙(Helsingin Sanomat)、新聞づくり体験施設ピステなどを訪問したほか、フィンランド新聞協会のピリョーリタ・プロNIE部長に話を聞いた。プロ氏は、「忙しい先生に学校で新聞を使ってもらうのが課題」と語ったが、同協会の調査で「新聞を学校の授業で使ったことがある」と回答した子どもが9割近くもいることからNIEが根づいていることがうかがえた。

また、毎年2月に実施される「新聞週間」には多くの学校が参加しており、新聞活用が浸透していることが理解できた。NIEは、「親が新聞を読む姿を見て育った子どもたちは、自然と新聞を読むようになる」(プロ氏)という同国の「読む」習慣に支えられていた。

学校は、ティックリラ(Tikkurilan)高等学校とマートゥッリ(Maatulli)小学校を訪れた。ここでも、新聞を特別視していなかったが、「テレビ、インターネットより親しみを感じないけれど、新聞は重要なメディアだと思う」とティックリラ高校の学生が語ったように、新聞が若者の生活にも息づいていることを実感した。

日程

8月24日(日)
  • オスロ着
8月25日(月)
  • ドラメンス・ティンダーダ紙・同社メディアラボ
  • スモーレネス・アビース紙
8月26日(火)
  • ソーバッケン小学校
  • リリモエン小学校
  • オストランディンゲン紙
  • オーモット・ウンダム中学校
  • Torshov gard農場
8月27日(水)
  • オスロからヘルシンキへ移動
8月28日(木)
  • 新聞博物館
  • フィンランド新聞協会・ヤングリーダー&NIE部長ピリョーリタ・プロ(Pirjo-Riitta Puro)さんの講話
  • ピステ
  • ヘルシンギン・サノマット紙
8月29日(金)
  • ティックリラ高等学校
  • マートゥッリ小学校
  • ヘルシンキ市学校博物館
8月30日(土)
  • ヘルシンキ発
8月31日(日)
  • 成田空港到着