NIEタイムを実践している先生の声

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学校ぐるみのチームNIE 新聞と触れ合う機会を作る

 正解のない課題が待ち受けるこれからの社会を生きる子供たちには、目の前のさまざまな課題に対し、「最適解」を導き出す力が求められる。そして、最適解を構築するためには、タイムリーかつ信ぴょう性の高い情報に基づく必要がある。その意味において、新聞の存在意義はこれまで以上に大きなものになると言える。

 そのため、新聞と日常的に触れ合うことができるように、私はこれまでNIEタイム(本校では新聞を活用したスピーチ)に取り組んできた。その概要と工夫した点を以下に述べたい。

 まずは、指導体制の構築についてである。毎日の帰りの会において、生徒が1人ずつ輪番でスピーチを行うのだが、その際、事前に副担任と一緒に推敲(すいこう)しながら作成した原稿を基に発表する。その発表に対し、学級担任がさまざまな形でフィードバックしている。このように、原稿作成時には副担任が、発表時には担任が関わるようにすることで、学校全体で新聞を活用する体制を構築してきた。

発表したワークシートは校内の掲示板に展示している

 次に、記事を選ぶ視点を生徒に与えることである。生徒がスピーチの材料となる記事を選択する際の基準については、原則自由としたが、時期に応じてさまざまなテーマを設け、それに準じた記事を選ぶようにした。例えば、「夏」「挑戦」「感謝」等のテーマに基づいて記事を選択させるのである。これにより、生徒たちは視点をもって記事を選択する(読む)ようになるとともに、幅広いジャンルの記事を選ぶようになった。またスピーチの際の視点や表現もテーマと結びつけるため、さまざまな工夫が見られるようになるなどの変化が見られた。

チームNIEのメンバー勢ぞろい

 そして、これらの活動を学校全体で展開し、継続していくためには、教師だけではなく、生徒も含めた学校総体での協働体制を構築する必要がある。そこで、生徒から有志を募り、NIEに関する自治組織(チームNIE)を発足させ、学校ぐるみの活動として、浸透と活性化を図るようにしている。当初は、当番活動が中心だったが、現在では生徒が自ら活動を活性化させるための提案をするなど、取り組みの推進に欠かせない存在となっている。

 これらの取り組みを通して、生徒に確実な変化が見られるようになった。教師と世の中のことについて話をするだけでなく、新聞の内容に触れて会話をすることも増えた。同時に、そのような生徒の変化に気付き、NIEタイムの効果を実感する教師が増えたことも、学校総体で取り組む実践の成果と言える。

 このように、生徒はもちろん、教師にも新聞と触れ合う機会を日ごろから意図的・計画的に設定することができれば、NIEの実効性を高め、子供たちをさらに成長させることにつながるのではないだろうか。

筆者・プロフィール

宮本 和典(みやもと・かずのり)
宮崎県都城市立小松原中学校教諭、NIEアドバイザー

「NIEニュース」第88号(2017.7.15)掲載
※学校名・肩書は執筆当時