NIEタイムを実践している先生の声

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子供だけじゃない!先生も変わる「NIEたいむ」

 2016年11月、米大統領選挙の結果が明らかになった翌日、教室でこんな会話をしていた児童がいた。

「びっくりしたよね! 予想と違った!」

「なんでだろう」

「わたしだったら、こっちに投票する」

 本校の児童は、世界で起きている出来事への関心が高い。それは5年前から取り組み始めた「NIEたいむ」が関係しているのだろう。毎週金曜日の朝15分間、「NIEたいむ」に取り組み、新聞と触れ合う活動を行っている。新聞協会NIEコーディネーターである関口修司先生が校長として赴任された年から始まり、今も継続している。

 「NIEたいむ」 では、 主に新聞スクラップを行っている。一人1部ずつ新聞を手に取り、お気に入りのものやテーマに沿った記事を選び、要約や感想を書く。発達段階に応じて活動内容を工夫している。低学年は、文章の読解が難しい。写真を選んだり、新聞記事からひらがなやカタカナ、習った漢字を探したりして、新聞と“仲良くなる”活動が中心である。高学年になると、感想だけではなく自分の意見を書くようにしている。

 週に1度無理のないペースで新聞と触れ合い、社会に目を向ける活動を継続したことで、いつの間にかそれが当たり前になり、自然と世の中のことを考えるようになっていた。そして、世の中のことが少しずつ分かってくると、「なぜ」「どうして」という問題意識を持つようにもなった。また、15分という限られた時間の中で情報を読み取り、まとめることをくり返していく中で、必要な情報を読み取る力(読解力)や、コンパクトにまとめる力(表現力)も向上したように感じる。

 私が本校に初任者として赴任すると同時に始まった「NIEたいむ」は、子供たちの意識や言語能力に変化を与えたが、最も変化を感じるのは、「私」である。

 「NIEたいむ」に出合うまで、新聞とはあまり関わることはなかった。しかし、「NIEたいむ」を積み重ねる中で、いつしか新聞を抵抗なく手に取るようになっていた。社会で起きていることに興味を持つようになっていた。ふとテレビをつけてニュースを見ている自分自身に、意識の変化を感じた。

 新聞を読んでいくと、小さな記事の中にはっと驚くものがあったり、おもしろい発明があったりと、自分の知らない世界をのぞくことができる。そのうれしさを実感したとき、「NIEたいむ」の良さを自分の言葉で子供たちに語りかけることができた。週に1度、子供たちの選ぶスクラップを読むことが、今の私の楽しみとなっている

筆者・プロフィール

水木 智香子(みずき・ちかこ)
東京都北区立滝野川小学校教諭

「NIEニュース」第88号(2017.7.15)掲載
※学校名・肩書は執筆当時