ニュースとはなにか
ニュースの価値判断について、ベテラン整理記者は次の六つを挙げています。
新しさ
Newsというくらいですから、「鮮度」が求められます。事件・事故の速報はもとより、スクープや調査報道で隠されていた事実を発掘した記事も新しいといえるでしょう。また、すでに知られている事実でも、さまざまな角度から掘り下げればニュースとなります。スポーツ紙が読まれるのは、試合結果だけでなく選手の細かい動きや心情を伝えているからです。
人間性
人間の命の問題です。飛行機事故などは死者の数が多いほど大ニュースになります。アフリカの子どもたちの貧困問題、障害を抱えながら前向きに生きる人々のニュースは読者の胸を打ちます。「わたしなら、どうするだろう?」と、読者に考えさせる記事といえるでしょう。
社会性
ここでいう「社会性」は、社会的な影響力があるか、人々が関心を抱くか、そして時代を反映した出来事か、に分解できます。社会的な影響があるかを判断するスタートは記者の「なぜ」という疑問です。飲酒運転による交通事故はこれまでも発生していましたが、報道によって飲酒運転に対する人々の姿勢が厳しくなったのは好例でしょう。
地域性
日本の新聞はおおまかに、全国を発行エリアとする全国紙、複数県にまたがって発行するブロック紙、県内で発行する県紙に分類できます。ここでいう「地域性」は全国紙と県紙で当然変わってきます。台風や降雪など自然現象のニュースは好例です。東京で雪が積もればニュースになります。青森や秋田ではよほどのことでないかぎりニュースになりませんが、稲の生育不良などは東京と比べれば大きなニュースとなるでしょう。
記録性
前日の株価が毎日報道され、選挙結果も確定得票数が必ず掲載されるのが新聞です。また、総理大臣の施政方針演説なども詳報されます。「新聞は歴史書」といわれるように、時代を記録していく新聞の姿勢を示しているのが、「記録性」といえるでしょう。
国際性
文字通り世界の動向を伝える視点のことですが、海外における日本人の消息を伝える側面もあります。地球環境問題に関する報道は国際性に富むといえるでしょうが、読者の関心が高い米・大リーグの日本人選手の活躍を伝えるのも国際ニュースといえるでしょう。
参照:『新編 新聞整理の研究』(日本新聞協会、1994年1月発行)