第16回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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福岡県 東福岡高等学校 2年 清武 琳さん
意見を聞いた人:知人
記事見出し
①付き添い入院 負担減るか(西日本新聞 2025年1月13日付朝刊)
②病児付き添い 家族の思い(北海道新聞 2025年2月21日付朝刊)
授賞理由
幼児期から手術や入退院を繰り返す清武さんは、数年前に入院付き添い者の支援活動団体を取り上げた記事をきっかけに、代表の綿谷千春さんと知り合った。以来、公的支援の必要性を新聞への投稿などで訴えてきた清武さんは、こども家庭庁が付き添い家族の負担軽減支援を始めることを記事で知り、綿谷さんに喜びのメールを送った。
しかし返ってきたメールには、制度化の影で望まないルールができたり、制度の枠から外れる人が生じたりする懸念がつづられ、付き添い家族の困難な体験を伝える小冊子を紹介する記事が添えられていた。綿谷さんの「心がほしい」という言葉に、制度化ばかりに注目していた自分を恥じ、広い視野を持ち多くの人の意見を聞いて、真に必要なものの見極めが重要だと考えるに至った。
(1) 記事を選んだ理由、記事を読んで思ったこと、考えたこと
心が震えた。入院付き添い者の苦境をやっと国が認めてくれたのだ。4年前に付き添い入院の過酷さを報じる記事を読んで以来、付き添い者への公的な支援が必要だと考え、新聞への投稿などを続けてきた。私は胸を躍らせて、当時記事を通して知り合った綿谷さんにメールを送った。綿谷さんはご自身の記事が掲載された新聞を送ってくださった。私は喜びを分かち合えると思っていたが、返信につづられた言葉は、想像とは全く違うものだった。
(2) 家族や友だちの意見
心がほしい、と綿谷さんは言う。長いメールには、小児がん拠点病院の制度ができるまでの、過去10年間に及ぶ経緯が書かれていた。制度化は喜ばしいが、制度化されることで、望まないルールができる懸念がある。制度の枠から外れてしまう人も出る。当事者が本当に求めるものが提供されるのか、本質を理解しつつ注視したい。
(3) 話し合った後の意見や提案・提言
短絡的な自分の考えを恥じた。これが考えるだけの私と、実際に付き添い者を支援している綿谷さんとの差なのだと思い知った。もっと広い視野を持ち、多くの人の意見を聞かなければならないと痛感した。私は付き添い者のために休業補償や特別休暇制度などの公的な補助があるべきだと思っていた。けれど綿谷さんの意見を聞き、ただ制度化するだけではなく、本当に必要なものを見極めた支援でなければならないのだと知った。管理社会の利便性と心づくしの弁当。その両方を望むのは身勝手だろうか。8月に19回目の手術を受けた。今も病棟でこの原稿を書いている。幼い頃から入退院を繰り返してきた私は、入院中のこどもたちとその家族のさまざまな苦悩を見てきた。付き添いは義務ではなく権利だ。痛みや恐怖におびえる入院中のこどもにとって、親が側にいてくれる安心感は何よりの特効薬だ。今後も国の動向を見守りながら、私自身にもできることがないか考えていきたい。







