第15回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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福岡県 東福岡高等学校 1年 清武 琳さん
意見を聞いた人:母
記事見出し
①優生思想 76年の重み(風向計) ②相模原殺傷8年 犠牲19人を悼む(西日本新聞 ①②とも2024年7月27日付朝刊)
(1) 記事を選んだ理由、記事を読んで思ったこと、考えたこと
旧優生保護法に関する訴訟については連日の報道で見聞きしていたが、このコラムを読んで、初めてその時代背景が分かった。法律ができた経緯を知ることで、障害者差別の一端を見た気がした。同じ見開きの左ページには、障害者施設で入居者が殺傷された、やまゆり園の記事があった。障害者は今も昔も不要な存在なのだろうか。自分自身に障害があることもあり、現在もなお障害者を排除しようとする考えがなくならないことに胸が痛んだ。
(2) 家族や友だちの意見
母の意見はこうだ。最近「不寛容は慈愛を妨げる」という言葉を知り心を打たれた。出生前診断を受けなかったのは、出産前に子どもの障害が分かったとき、自分に産むか否かの決断はできないと考えたからだ。もちろん今は我が子の命の尊さをひしひしと感じているが、かつては自分にも障害者に不寛容な部分があったのではないかと思う。
(3) 話し合った後の意見や提案・提言
生まれてくる子どもが五体満足であることを祈るのは当然だ。出生前診断を受け、障害のある子は産めない、と判断するのも仕方がないことなのかもしれない。私は先天性の障害のために18回手術を受けた。確かに、健常な人よりも負担や不自由は多い。けれどこの体だからできた経験もある。周囲の人たちの優しさに支えられ、楽しいこともうれしいこともたくさんあった。障害者に生きる価値はない、と言う人もいるが、決してそうではない。母の話を聞き、少数他者の意見や特性を受け入れられない不寛容さが差別を生むのだと感じた。旧法は違憲との判決が出たからといって、差別がなくなることはないだろう。だが、多様性が尊重されるようになり、障害者を取り巻く環境も76年前とはずいぶん変わった。この時代にこの世に生をうけたことを感謝している。そして未来では、障害に限らず様々な問題を抱える人たちが、今よりもっと生きやすい社会になっているはずだと信じている。