第14回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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島根県 島根県立出雲高等学校 2年 山上 敦也さん

意見を聞いた人:母

記事見出し

論説 性自認とトイレ制限(山陰中央新報 2023年7月13日付朝刊)

(1) 記事を選んだ理由、記事を読んで思ったこと、考えたこと

性自認に関する問題の難しさを改めて感じた。全ての人の思いを尊重するのは困難なこともある。私がこの問題を難しいと感じるのは、「多数派」の一人である私自身、「少数派」の人とトイレを同じくすることに今はまだ戸惑いがあるからだ。だから、「多数派」の思いを尊重する人事院の判定にも合理性はあると私は思ってしまう。

(2) 家族や友だちの意見

このことについてどう思うか母に聞いてみたところ、母は、「自分は、そのような人とトイレを共にすることに抵抗はない」と言い切った。 「最高裁の判決は至極当然」「公共施設でも認められるべき」と、迷いがない。

(3) 話し合った後の意見や提案・提言

この問題に関する母との議論で気づいたことがある。母の「少数者の人権を守るべき」という主張に対し、私が難色を示していたのは「変化」であった。制度を変えることで人々に困惑や混乱が生まれるという考え方を盾に、私は「自分が困っていない今」を守ろうとしていたのだ。人権を守るという観点から見たときに、「自分が困っていない今」を守るべきだという主張と「他人が困っている今」を変えるべきだという主張、説得力があるのは後者であろう。そこには主張者の数は関係ない。悩んでいる人がいる現状に問題があるのは間違いないのだ。多数派と少数派のどちらを尊重すべきかは問題ではなく、困っている人を助けるためにはどうすべきかを考えるべきなのだ。誰もが幸せになれる未来を目指して、社会を見直していくべきだと思う。