第14回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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埼玉県 埼玉県立川越女子高等学校 1年 石川 真帆さん

意見を聞いた人:母

記事見出し

喪の旅 家でも職場でも頼られた姿 誇り(朝日新聞 2023年6月11日付朝刊)

授賞理由

くも膜下出血で倒れた妹の臓器提供を決断した女性の記事を読み、石川さんはその決断の難しさを感じた。身近な人の突然の死を受け入れられない状況で、どう判断しても後悔するのではないか。

母は、日々の当たり前を大事にしなければならないと説いた。母の意見を聞いた石川さんは、大切な人を突然失う苦しみをまず想像しなければと考える。そして、臓器提供の可否を考えられるのも自分も周りも元気だからこそであり、その幸せをかみしめたいとの思いに至る。

臓器提供者と家族、それぞれの立場から多面的に記事を読み、母との対話をきっかけに、身近な人と過ごす時間の大切さにまで深く思考を掘り下げた点が高く評価された。

(1) 記事を選んだ理由、記事を読んで思ったこと、考えたこと

臓器提供という文字に引き寄せられ、読むことに決めた。この記事を読んで、身近な人の死を受け入れることもままならない状況で、臓器提供を提案され出した答えに、私だったらいつか後悔してしまう気がする。臓器を移植して誰かを救えたらいいと思うけれど、きれいな体のまま火葬したいというのが本音だ。逆に、自分が死んだ時は、臓器を提供して役に立ってほしい。どちらにしろ譲れない理由があるからこそ、重く難しい話だと思う。

(2) 家族や友だちの意見

母は「読んでまず初めに、当事者の苦しみが胸を締め付けた。日常的に会える人に急に会えなくなることがある。だからこそ、当たり前を大事にしなくてはならない。亡くなった人が臓器提供を望むなら、私は賛成する。亡くなっても、臓器を通して、その人の存在を感じられるなら、そうしたいと思う」と言っていた。

(3) 話し合った後の意見や提案・提言

母の意見を聞いて、考えが少し変わった。臓器提供以前に、大切な人が突然いなくなる苦しみを想像しなければと思った。いつ会えなくなるか分からないからこそ、大切な人と過ごす時間を大事にする必要がある。それでやっと、臓器提供に踏みきれるのだと思う。亡くなった人の望みと、残された人たちの生き続けてほしかったという願い。両者の思いが臓器提供という形で重なるとしたら。亡くなった人の意志は実現される。そして、今もどこかで生きていると感じられ、残された人たちも救われるのではないか。それから、臓器を提供したくてもできない人がいることを忘れてはならない。死してなお、提供可能な臓器を残してくれたこと。それは、次の役目=第2の人生も全うできると教えてくれているような気がする。しかし、こんなことを言っていられるのは、自分も周りも元気なうち。当たり前だと素通りしてしまっていること、今一度そのありがたみと幸せをかみしめたい。