第13回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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埼玉県 埼玉県立川越女子高等学校 2年 杉山 和さん

意見を聞いた人:母

記事見出し

和ちゃんの原爆を語り継ぐ(朝日新聞 2022年7月31日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

「和ちゃんの原爆を語り継ぐ」。名前が和である私は、この見出しになぜかモヤモヤとした感情を抱き、この感情を解いていくとともに、原爆についての理解を深めたいと思いこの記事を選びました。原爆という計り知れない脅威にさらされ、戦後も仲間との別れ、顔の傷跡や原爆症といった不条理と戦い続けた和ちゃんのような人々が、この日本に確固として生きていたという事実を、現実として受け入れていかなければならないと強く思いました。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

この記事を読んだ母は、「戦争での記憶が、過去の事象、単なる歴史になりつつある。戦争を経験していない私たちだけれど、私たちの住む日本で戦争が起こってしまったことは現実であり、傷跡は今もなお残っているという事実を決して忘れてはいけない」と言っていました。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

母とこの記事について話し合っていて、気づいたことがあります。それは、私が、原爆や戦争を過去の事柄と断定してしまっていた、ということです。この記事の見出しを見つけた際に感じたモヤモヤは、「現代を生きる」私の名前と、「過去を思わせる」原爆という言葉の取り合わせの違和感からくるものだったのです。しかし、今ではそのモヤモヤは間違っていると断言できます。原爆や戦争の傷は、今も続いているのです。被爆樹木の多くが爆心地に向けてわずかに傾いているように、今もなお戦争の後遺症に悩まされる方がいるように、その傷は今もなおありありと戦争の現実性を体現している、と言えるのではないでしょうか。戦争の残り香の漂いを感じるのではなく、香りのもとをたぐりよせて現実と認め、その現実と向き合うことこそが、今を生きる私たちがするべき任務だと私は思います。