第13回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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徳島県 鳴門教育大学附属中学校 3年 河野 地里子さん

意見を聞いた人:祖父

記事見出し

高齢者安全運転 指導に〝新兵器〟(福井新聞 2022年8月3日付朝刊)

授賞理由

旅先で新聞を読んでいた河野さんは、運転者の実走データを基にした運転技能の自動評価システムを取り上げた記事に目を留めた。高齢ドライバーの事故を防ぐための一助として、全国に広まってほしいと考えた。

記事を読んだ祖父は、家族から免許返納の話をされると意地を張ってしまうが、AIに指摘されれば素直に受け入れられるかもしれないと話した。河野さんは、祖父が心の中で悩んでいたのだと知る。

祖父との会話をきっかけに、AIを利用することで人と人とのコミュニケーションがうまくいくケースもあると思い至った河野さん。診断システムの普及により全ての人が安心して運転できるようになる社会を願った。祖父との温かいやり取りを通じ、人の言葉の裏にある真の気持ちやAIの可能性など多様な視点に気付き、思考を深めている点が高く評価された。

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

旅行先で新聞を読んでいたときにこの記事がとても印象に残った。記事に出てくる男性と私の祖父が重なったからだ。祖父は70歳になり、周囲から免許返納を勧められている。しかし、生活に便利ということもあり自分で運転をしている。記事を読んで、「運転技能自動評価システム」を使えば、祖父も今後より安心して運転できるのではないかと考えた。安全運転へのサポートとして、この装置がこれから全国的に広まってほしいと思った。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

祖父に記事を読んでもらうと、「この装置があったらええなあ。わしも昔に比べて自分の運転について不安に思っとるところもあるんじゃ。ほなけど、家族から免許返したらって言われたら、どうしても意地を張ってしまうんよ。人やなくてAIに指摘されるんやったら素直に受け入れられると思うわ」と話していた。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

私は祖父の言葉を聞いてハッとした。祖父はこれまで家族から免許返納を勧められても、かたくなに首を縦に振らなかったので、自分の運転に自信があると思っていたのだ。心の中では悩んでいたことを初めて知った。祖父の気持ちを推し量ることができなかったことを申し訳なく思うとともに、他にも祖父と同じような気持ちを抱えている高齢者は多いのではないかと考えた。また、祖父の言葉を聞いて、AIについて便利とだけ思っていた自分の考えは間違っていたことに気づいた。人と人とのコミュニケーションはかえって反発を招き、事態を悪化させることもある。その際、AIが人と人の仲立ちをすることで状況を緩和させたり、円滑なコミュニケーションを促したりすることができるのだ。この装置の記事を介して、私も祖父の本心に触れることができた。このシステムの使用が一般的なものとなり、すべての人が安心して運転できる社会になることを強く願う。