第12回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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和歌山大学教育学部附属小学校 6年 北野 伊武季(きたの いぶき)さん

意見を聞いた人:父・祖母

記事見出し

極寒の強制労働 60万人 日本人の捕虜 シベリアに(読売KODOMO新聞2021年8月12日付)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

この「シベリア抑留」特集の記事を選んだ理由は、今、僕の手元にある一冊の本につながります。「北の星影、吾が抑留の記」という題で僕の曽祖父が書いたものです。小学校で戦争のことを学んで、考える機会があり、身近に戦争を体験した人がいるかと、父に聞いてみたところ、曽祖父がシベリアに抑留されていたと知りました。とても驚いている時にこの記事と出会い、なんだか宿命を感じました。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

記事の絵画から伝わってくる恐ろしさ、寒さ、飢え。父は「今の私たちからすると想像すらできない過酷な体験」といい、舞鶴引揚記念館へ資料を見に行く約束をしました。祖母は「涙なくては読めない」と曽祖父のつらく命がけの日々の話も思い出しながら、大切な本を僕にくれました。帰国後の曽祖父はとても優しかったといいます。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

祖母の話や新聞と本を比べ合わせて話し合ってみると、実態が分かってきました。中央アジアの大平原、1年の三分の二が冬だということ。雪の波で大地は凍り、平均気温マイナス40度。生と死が隣り合わせの世界で必死に働いて生きてくれたから、未来の僕につながっているんだと思うと言葉にはできない感情が生まれました。記事の絵画や曽祖父の戦争捕虜の実録から、戦争のもたらした悲劇を忘れないように、また後世に伝えていきたいという思いが伝わります。曽祖父は帰国し月日が流れてから、「未知の地の 旅の紀行と抑留を 笑い語らう 平和なる世に」と短歌を詠んでいます。今、僕は教室で友達と笑い語らえています。歴史を知って伝えていくこと、平和を守っていくことがこれから僕にできることだと思いました。