第12回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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(福岡県)東福岡自彊館中学校 1年 清武 琳(きよたけ りん)さん

意見を聞いた人:母

記事見出し

①インクルーシブ教育(9)、②発達障害児 私立小を提訴(西日本新聞①2021年5月30日付朝刊②2021年4月15日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

今春、教育面に連載された「インクルーシブ教育」を興味深く読んだ。ぼくが通っていた小学校にも、10クラス以上の特別支援学級があったからだ。そんな時、発達障害児が違法に退学させられた、という記事を見て驚いた。ぼく自身が、4月から私立学校に通い始めた障害者だからだ。障害を理由に退学させられるなど、言語道断だと思った。同時に、ぼくがもし学校生活になじめず退学処分になったらどうしよう、と不安になった。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

母の意見はこうだ。退学になった児童の母親の気持ちは理解できるし、学校側の説明ももっともだと思う。学校は、学習だけでなくたくさんのことを学ぶ場だ。でも、一番大切なのは預かった子どもを無事に保護者に返すことだ。私立校の特性もあり、級友の安全が保障されない状況を考えると、一方的に学校を責めることはできない。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

母の意見を聞き、憲法の「公共の福祉」という言葉が頭に浮かんだ。障害者に「迷惑」という目を向けるのか、それとも仲間の一人と捉えるのか、という記事の言葉が胸に刺さった。そして、「普通」の体でない自分が、今までつらい思いをすることなく幸せに過ごしてきたのは、決して当たり前のことではないのだと気付いた。学校で嫌な思いをしたことがないのも、先生方や周囲の人たちが、温かい心でぼくを受け入れてくれたおかげなのだと、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。記事から4か月。公立小に通っているという男の子は、新しい学校での生活を楽しんでいるだろうか。退学させられたのではなく、その子のために、十分な支援ができる学校に転校したのだと思いたい。「どの子も違って当たり前」。病気や障害を持って生まれたすべての子どもたちが、それぞれの個性に合った自分の望む場所で、共に生き、共に学び、共に成長できる社会になることを願っている。