第12回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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(大阪府)清風中学校 2年 田中 泰斗(たなか ひろと)さん

意見を聞いた人:父・母

記事見出し

コロナワクチン 接種券届いたら(朝日新聞2021年6月8日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

この記事を読んで、ふと疑問が生じた。「お家がない人の接種券はどうなるんだろう?」。ホームレスの人々はワクチン接種ができるのか。そこで、インターネットで調べてみたが、ほんの一部の自治体が窓口に行けば交付できるというだけで、ほとんどの自治体は対応していなかった。対応している自治体でも、ホームレスの人々はその事実をどこで知るのだろうか。事実上、ホームレスの人々が対象になっていない状況に大きな疑問を抱いた。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

なぜホームレスの人々はワクチン接種の対象にされていないのか、両親に尋ねた。父は、「人間は自分と同質な『私たち』と異質な『彼ら』を区別したがる。そこには多様性も寛容性もない。その典型例じゃないか」といい、母は「それに気付けたのなら、どうしたらそんな世の中を変えられるか考えてごらん」と返答した。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

学校では「この社会のすべての人間は平等で、すべての人にかけがえのない尊厳がある」と教わった。多様性を前提にした公正な社会だ。しかし実際には、「この社会」から何らの関心も持たれない人々がいる。新型コロナ感染拡大という非常事態は、その矛盾をあぶり出したと思う。新型コロナは怖い病気で誰も感染したくない。それは人間なら誰もが同じだ。ところが、多くの人々が「彼ら」のワクチン接種問題に気付いていない、気付こうともしない。気付けば「私たち」のワクチンが減るからではないかと思った。とても公正とはいえない。どうすればこの状況を改善できるのか。この点、最近は、女性やLGBTQ、障害者の人々の人権問題に関心が集まっていて、それと共に社会も変化してきている。ホームレスの人々の人権問題も、まずは僕たち一人一人が関心を持つことが重要なのではないか。それが「私たち」も「彼ら」もない公正な社会を実現する第一歩になるはずである。