第12回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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(東京都)白百合学園高等学校 3年 中田 結子(なかた ゆいこ)さん
意見を聞いた人:父
記事見出し
ミャンマー弾圧 とらわれた経験証言(朝日新聞 2021年8月6日付朝刊)
授賞理由
ミャンマーでクーデターが起きてから時間がたち、市民のデモ活動など関連の報道を目にする機会が減っていた時、抗議活動で逮捕された市民2人の体験が語られた記事に目が留まった。弾圧の実態は中田さんが想像していたよりもはるかに厳しく、衝撃を受けた。
弾圧を受けながらも自らの権利を守るため、命を懸けて活動を続けている人がいることを忘れてはならないと語る父の言葉から、ミャンマーの人々の状況に心を痛めつつも、どこか人ごととして捉えていた自分に気が付いた。そして、平和な日本においても自分が持つ権利について考えることが、記事を読んだ自分がすべきことだと思い至った。
権利の上に安住していると、いつか気が付かないうちに権利を失ってしまうという教科書の言葉を思い起こし、平和な暮らしは求め続けなければ手に入らないと考え、積極的に政治参加することが第一歩だと結んだ。家族との対話を通じて新たな視点に気づき、考えを深めて自分のとるべき行動について表明している点が高く評価された。
(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください
ミャンマーで国軍が権力を握ってから少し時間が経ったが、日に日に市民によるデモ活動の報道を目にする機会が減っていると感じ、現地の状況への不安な気持ちがあった。そのような時にこの記事を読み、デモ活動の弾圧の内情を少し知ることができた。記事の内容は私が想像していたよりもはるかに厳しい取り締まり、いわば徹底した弾圧であり、衝撃を受けたので、ここで自分の意見を述べたいと思い、この記事を選んだ。
(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください
父は、「国軍がしていることは人権侵害であり、許されるべきではない。ただ、今も弾圧を受けながらも、自らの権利を守るために命を懸けて活動を続け、権利を訴えている人がいる。日本にいるとあたかも自分たちの生活が当たり前のものであるかのように思いがちだが、権利を求めて戦う人がいることを忘れてはならない」と言う。
(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください
父の意見を聞き、はっとさせられた。私は当初この記事の内容に心を痛め、ミャンマーの人々が平和を取り戻せるようにと祈ることしかできなかった。現地にしか目を向けておらず、この悲惨な状況をどこか人ごとのように認識していたのだと思う。この記事を通して求められることは平和に暮らすことができている日本という国における権利の重みについて考えることではないか。以前現代文の教科書で「権利の上に眠る者」という文章を読んだ。そこには、「権利を当たり前にあるものだと思い権利の上に安住していると、いつか気がつかないうちに権利を失ってしまう」と書かれていた。読んだ当時は実感が湧かなかったが、今の私はまさに権利の上に安住していた。平和な暮らしは求め続けてこそ手に入り、維持され得る。積極的に政治に参加すること。具体的には政治への意見を持ち、選挙に行くことが権利の上に安住しないための第一歩だ。