第12回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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(岩手県)盛岡市立見前中学校 2年 尾崎 柚果(おざき ゆうか)さん

意見を聞いた人:母

記事見出し

誰もやらないことならやれる(朝日新聞 2021年7月20日付朝刊)

授賞理由

ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長が発達障害であることを語るインタビュー記事を選んだ尾崎さん。日頃から、発達障害をもつ姉と自分との違いを意識はするが考えが深まっていなかったことに気付く。発達障害を前向きに考え、長所と短所と捉える似鳥会長の言葉にはっとし、「違い」とは何かと悩んだ。

「支え合えば障害ではなくなる」と話す母から、本当の意味で理解し合い、対等な関係になってほしいと聞いて、もう一度記事を読み返し、みんな一緒ではなく違うからこそ助け合うことができるのだと思い至った。

障害があるから「違う」のかという当初の疑問に、母との対話を通して自分なりの答えを見つけた尾崎さん。多様性を認め合う社会へと移行するなか、自らの体験を踏まえ、違いを超えて支え合う社会のあるべき姿を提言したことに説得力があり、可能性を信じることにつながるとして高く評価された。

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

発達障害という言葉に私は目を奪われた。私には発達障害をもつ家族がいる。それは、私の大好きな姉だ。だから、この記事に関心をひかれたのだと思う。私と姉は全く違う。できることも、できないことも全く違う。私は、いつもそこで考えを終わらせていた。しかし、この記事を読んで「障害があるから違う」という考えに疑問をもった。本当に障害のせいなのか。私は、似鳥さんの「長所と短所」という言葉にハッとし、悩まされた。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

母は「私は発達障害という名前を付けることが間違っていると思う。似鳥さんの言うように、長所であり短所。それは障害者特有のことではない。私たちと同じだと思う。だから、お互いが支え合うことが大切だ。支え合えば障害ではなくなると思う。本当の意味で理解し合い、対等な関係になってほしいと思う」と言った。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

似鳥さんと私。姉と私。母と私。母の意見を聞いてから読み返すと、全員が違うことに気付いた。そして、違うからこそできることがあると思った。それは、助け合うことだ。もしも、みんな一緒だったら支え合うことはできない。違うから、自分の苦手を埋めてくれる人がいるし、相手の苦手に手を差し伸べられる。私と姉はまさにそれだ。私は忘れものが多いが、姉は記憶力が高い。姉は文章を書くのが苦手だが、私は物語を考えるのが好きだ。苦手な勉強を教え合うように、お互いを理解する。これでいいのだ。それは、障害という枠を捨てても言えることだと思う。逆に「違う」というところが、みんなのおそろいなのかもしれない。また、他人の短所を認める前に、自分自身のできないことを認めるのも大切だと思った。似鳥さんのように、自分と他人の苦手を受け入れ、そのうえで自分を生かす、そんな思いを持てば、見えている世界がちょっと変わるかもしれないと感じた。