第11回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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福岡県粕屋町立粕屋中央小学校 6年 清武 琳(きよたけ・りん)さん

意見を聞いた人:父・母・祖母

記事見出し

大空襲供養 今年は1人で(西日本新聞2020年6月16日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

昨年祖母に戦時中の話を聞いた。終戦時祖母は16歳だった。いろいろな話を聞いたなかで、一番印象に残ったのは、銀行の地下で友達が亡くなった話だった。この記事を読んで、涙を流しながら話してくれた祖母の顔を思い出した。コロナ対策のため、施設に入っている祖母とは3月から会っていない。75年たった今も、空襲で亡くなった友達のことを忘れられない祖母の気持ちを思い、寝たきりの祖母の代わりに何かできることがないか考えた。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

両親と一緒にこの記事を読んだ。父から、当時祖母の家が十五銀行の近くにあったと聞いた。もし空襲で祖母が亡くなっていたら、父もぼくも生まれていない。今ここに生きていることの不思議さ、命がつながっていくことの尊さについて両親と話し合った。そして、祖母の代わりに三人でじゅうご地蔵尊にお参りしよう、と決めた。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

両親と三人で千羽鶴を折った。千羽折るのは思っていたよりずっと大変だった。鶴を折りながら、会ったことのない、祖父や曽祖父母の話を聞いた。海軍兵だった祖父が、手こぎボートで戦艦大和の周りを一周した話。曽祖父が、空襲の夜、自宅の屋根の上で火の海になった博多の街を見た話。福岡大空襲の中心地は、ぼくが山笠やソフトバンクホークスの優勝パレードを見た辺りだと知り、鳥肌が立った。今まで遠い昔のことだと思っていた戦争を、初めて身近に感じた。7月25日、ようやく出来上がった千羽鶴を手に、栄昌寺を訪れた。じゅうご地蔵尊には、たくさんの千羽鶴が奉納されていた。色あせた古い千羽鶴に長い年月にわたる遺族の方々の思いを見た気がした。戦争で亡くなった人はもちろん、命をつなげずこの世に生まれることができなかった人が、いったいどれだけいるだろう。75年前の悲劇を、命を受け継いだぼくたちは、決して忘れてはならないと思った。