第11回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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鹿児島県立大島高等学校 3年 松浦 美悠(まつうら・みゅう)さん
意見を聞いた人:父
記事見出し
トライアスロン、初の中止 新型コロナ感染懸念で(南海日日新聞2020年8月21日付朝刊)
(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください
「ねぇトライアスロン中止だってよ!」。朝一番、母から聞いたニュースに、私は「お父さんかわいそう」と返すしかなかった。7月の開催予定が11月に延期されてからも父は地道にトレーニングを続けていた。仕事の合間を縫っては自転車に乗り、山道をランニング。休みの日には、プールや海でスイムの練習に励む。その姿を思い出して「何と言ってなぐさめたらよいのだろう」と悩み、延期のはずが結局中止とはひどい!!と私は憤った。
(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください
私の心配をよそに、父の反応はあっさりとしたもので「このご時世だから仕方ない」だけ。拍子抜けする私に「コロナでオリンピックが延期になって引退した選手もいる。人生の目標を失うようなものだ。それに比べれば大したことではない」と言い切った。「心配してくれてありがとう。次回に向けて練習しなきゃ!」と前向きだ。
(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください
大きな見出しのみに目を奪われ、当初、私の頭の中はいわゆる“炎上”状態であったと思う。中止決定に落胆する父の気持ちに寄り添ったつもりでいたのに。肝心の父の心情は全く違った。アスリートの一人として五輪選手のつらいニュースに衝撃を受け、結果、穏やかな気持ちでトライアスロン中止を受け入れることができたのである。父との会話後、再び記事を読んでみると、今度は「住民の命を最優先」する最善の選択だったのだと胸にストンと落ちてきた。また、島民の協力があったからこそ30年以上も継続できたイベントなのだということも伝わってきた。今回の出来事で、物事は一方の立場から見て判断するのではなく、いろんな角度から観察した上で結論を出すことが大切だと実感した。卒業し社会に出ると、自分の意見を外部に発信する機会が増えるだろう。この経験を忘れることなく、自らの発信に責任を持てる人間でありたい。