第11回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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長野県上田千曲高等学校 1年 有銘 桜音(ありめ・おと)さん

意見を聞いた人:姉

記事見出し

難病女性を嘱託殺人疑い(信濃毎日新聞2020年7月24日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

以前見たドキュメンタリー番組をきっかけにスイスの安楽死制度に興味がありました。事件当初、ネット上ではさまざまな意見が飛び交っていましたが、私自身としては安楽死を望んだ女性の意志、金銭を受け取って依頼を受けた医師たちの気持ちなど当事者にしか分からないことが多いので、第三者が意見してどうにかするものではないと思うのと同時に、自ら死を選ぶ権利や安楽死制度についてはもっとちゃんと向き合っていくべきことだと考えます。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

姉は「嘱託殺人を受けた医師二人が金銭目的だけではなく、医師として患者さんを救いたいという気持ちがあってほしいと思う。その一方で、逮捕されたことに関しては否定はできない。ただ、二人の行った行為が法律上許されなかったとしても、道徳的には否定しきれない、難しい問題だ」と言っていました。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

この件について賛成や反対の論争を繰り広げたところで起こったという事実は変わらないし、最後に医師二人を裁くのは司法です。ただ、このことを受けて、世の中の一人でも多くの人がスイスの安楽死制度を知るきっかけになったり、その制度や自ら死を望む権利、選ぶ権利について考えるきっかけにもなったと思います。だから、このことをただ「いけなかったこと」としてまとめてほしくないです。私自身は、日本での安楽死制度導入に賛成も反対もしきれない立場に今はあります。けれど、死を望むことの多くが人生に絶望した、悲観的な考えだけではなく、人によっては死の選択が一つの希望でもあると考えています。最終的には「当事者にしか分からない」でまとまってしまうし、「命を大切に」という世の中で死はかなりネガティブな捉え方があるように感じます。とても難しい問題です。ただ個人的に、今回の件で亡くなられた女性にとってこの選択が希望であったと思いたいです。