第11回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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(福岡県)筑紫女学園中学校 2年 尾倉 瑠衣(おぐら・るい)さん

意見を聞いた人:母

記事見出し

修復の技 慈しみの心(読売新聞2020年5月3日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

長い年月を経た貴重な美術品を修復する美術修復士の仕事ぶりを何度かテレビで見たことがある。繊細な美術品を修復する高い技術と知識、そして彼らのすさまじい集中力に驚いた。この記事は、現在ではなく、江戸時代における美術品の修復についての話である。このような昔から日本美術の名品は傷付いてもなお修復することによって新しい美が加えられ、大切に受け継がれてきたことに驚き、感動を覚えた。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

母は、「江戸時代は徹底したエコ社会で、不用品をリサイクルし、どんな物でも修理できる職人がいて庶民の生活を支えていたと本で読んだことがある。しかしそれが美術品であっても、金継ぎを施したり、ホチキスのような鎹(かすがい)が器の表に出ていても、そこに新たな美を見いだすところは日本らしい美の感じ方だと思う」と言った。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

令和2年7月1日から全国一律にレジ袋有料化が開始された。海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化など大きな課題を乗り越えるため私たち一人ひとりがプラスチックの使用を控える努力を続けなければならない。今こそ、江戸時代の人々の暮らしから私たちは多くのことを学ぶことができる。私はこの記事を読むまで、「修復とは制作された当時の姿を完璧な形で復元すること」だと思っていた。しかし、江戸時代の修復は傷付いた物の姿を生かし、新たな価値を加えて、「傷」さえもチャームポイントに変えてしまっている。大量生産大量消費の時代により、私たちの「物」との関わり方は非常に粗雑になり、物のいのちを惜しみ、大切にする気持ちを忘れてしまった。日本人は古来、全ての物を「いのちある存在」として尊重する心を受け継いできた。修復された美術品を見ることで、「日本人の慈しみの心」をもう一度見直すことができるのではないだろうか。