第11回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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(長野県)才教学園小学校・中学校 中3年 河西 俊太朗(かさい・しゅんたろう)さん

意見を聞いた人:父

記事見出し

戦後75年 満州・福島 2度失った古里(信濃毎日新聞2020年8月16日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

僕は元々日本の近現代史に興味を持っていたが、この見出しに目を奪われた。満州、福島。二つの地名は日本人にとって歴史上、大きな意味を持つものだ。記事の伊東さんは、その二つを古里とし、追われた経験を持つ。そのどちらも「奪われた」ようなものでありながら、「どんな時代も任せっきりじゃいけない」と説いている。夢を砕かれ、深く傷ついたはずなのに、なぜそんなことが言えるのかすぐには理解できなかった。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

アジアの近代史を勉強し始めた父に話を聞いた。「歴史を学ぶうえで記録や記憶はとても大切で、特に当事者の証言や体験談は後世に残すべき貴重な資料だ。伊東さんの体験は、我々や未来を生きる者にどのように生きていくべきかを考えさせてくれる。自分で考え、行動できる若者が増えていってほしい」と言っていた。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

伊東さんが訴える「自ら考える大切さ」は、今こそ本当に必要なことだと思う。インターネットで情報を手に入れ、何でも分かっている気になっているが、じっくり考えてその本質を判断しているとは僕も言えない。新型コロナウイルスにしても、日本中が情報に踊らされているようだ。伊東さんたちは豊かで幸せな暮らしを求めて、その時代の「最善の判断」をしたはずだったが、その陰に隠された国の侵略政策や科学技術の危険性まで見抜けなかったことで、悲しい結果を招いてしまったとも言える。そのことに気づいたから、苦しく悲しい経験を話し、「自分で考えなさい」と教えてくれているのだ。僕らは歴史や過去から素直に学ぶ姿勢を持ち、自分で考えるという責任をしっかり果たしていかなければならないと思う。また一方で、戦争や災害についての正しい記録と記憶を社会全体で後世に伝えていくことも、未来をより良くするための、今を生きる僕らの義務だと考える。