第11回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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西南女学院高等学校(福岡県) 2年 山口 歩乃果(やまぐち・ほのか)さん
意見を聞いた人:母
記事見出し
デジタルVS:AIに著作権はあるか(毎日新聞 2020年5月17日付朝刊)
授賞理由
AIの進歩により、亡くなった作家の新作が読めることに驚いた山口さん。記事を読み、「偉人の復活」を見ることのできる未来の生活に期待を膨らませて母と対話した。
対話の中で、「(AIを)使う側の人間の熟考と慎重さが求められる」などとする母の意見を聞き、AIが作り出した作品と原作者の関係や、著作権の帰属先はどうなるのか、次々と疑問がふくらんだ。そして、利潤のためだけにAIを活用することは故人を冒涜(ぼうとく)することだと考え、法的な環境整備を後回しにしてはならないとの意見をまとめた。
賛否が分かれる問題について、当初は賛成の立場だったものの話し合いを経て、著作権などの法を整備し、皆が納得する形で進めるべきであると考えを深めた。これからの時代に必要とされる“新たな価値や制度”を生み出すうえで求められる「社会を読み解く力」を体現している点が高く評価された。
(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください
私たち人間は、限りある命の中で生きている。AIの革命的な進歩は、それを永遠のものにできるという。大変驚くべき記事である。もう二度と見ることのできぬ過去の偉人の新作を、本人不在の今AIの力によって、この世に生み出すことができるとは、なんと素晴らしいことだろう。著作権などの法的問題は、今後解決すべき課題だとは思うが、これから先どのような偉人の復活を見ることができるのか、私たちの未来の生活に期待が膨らむ。
(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください
母の意見は「AIの発達は目覚ましい。しかし、日々変化を続ける人間の生前の一部を切り取り、今現在における復活と呼ぶのは、いかがなものか。AIが作り出すものと、人間が作り出すものは、良い意味で平行線であってほしい。AIの可能性が広がる今、使う側の人間の熟考と慎重さが求められるのではないか」である。
(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください
過去の偉人の新しい作品に触れることができると単純に喜んでいたが、母の意見を聞き、確かにその作者が今生きていたら、同じような気持ちで、同じような作風の作品を生み出すのかが疑問に思えてきた。その作者のデータが組み込まれたAIは、遺伝子を受け継いだ子供のような存在になるのだろうか。そう考えるとAIの作品は、その作者の子供、つまりAI自身のものとなるのかもしれない。だとしたら、著作権はAIのものなのだろうか。では、その著作権から利を得るのは誰なのだろう。もし利を求めるだけで、この機能を使うことが起これば、それは偉人たちへの冒瀆(ぼうとく)にほかならない。母の言う慎重にという言葉にもうなずける。素晴らしいこのAIの力を良い方向で使うためには、法的整備が後回しになってはならないと思った。難しい問題は山積みだが、やはり私としては、さまざまな時代の過去の偉人たちの作品に出会ってみたい。皆が納得した形でこの力が使われる日が来てほしい。