第10回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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富山県高岡市立高岡西部中学校 3年 上坂 大空(こうさか・たすく)さん
意見を聞いた人:母
記事見出し
飛行機代6万円ありがとう/見知らぬ自分に飛行機代 恩人と再会(北日本新聞2019年5月12日付、5月22日付各朝刊)
授賞理由
財布を落として困っている高校生に手を差し伸べる大人がいること、恩人に感謝の気持ちを伝えるべく行動する高校生と、それを助ける地元紙の存在を記事を通じて知り、温かい気持ちになった上坂さん。
母親から、小学生の頃にけがをした際に他者から受けた善意の話を聞き、SNSにより他者との関わり方が変化した現代でも、人間の根本にある温かさは変わらないことに気づいた。上坂さんは、自分も困った人に出会ったらいつでも助けられるようにしたいと決意を語る。
興味を抱いた記事だけでなく続報にも関心を持って接した点が新聞の読み手としてすばらしく、母親との対話を通じ、助けられた高校生に加え、見ず知らずの高校生にお金を貸した人を探すために記事を書いた地元紙記者の思いにまで視点を広げていることが高く評価された。
(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください
人と人の関わりが薄れてしまったと言われるこの時代に、困っている人を見たらすかさず手を差し伸べる人がいて、その人の善意に心から感謝する人がいたことが書かれたこの記事は、僕の心をあたたかくしてくれた。子供の虐待など痛ましい事件も多い中、周りの大人が子供たちを見守る社会が現代でも受け継がれていることを知り、まだまだ世の中捨てたものじゃないと思った。
(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください
困っている見知らぬ人にすかさずお金を渡してあげた方は、自分の信念に従って行動できる本当に素晴らしい方だと思う。地元紙にお願いしてまで、お金を貸してくれた方に直接お礼が言いたいと即座に行動にうつした高校生もすごくあたたかい心の持ち主で、きっと二人の相手を思いやる気持ちが通じたのだろうと母は言っていた。
(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください
母はこの記事を読んで、小学生の頃の思い出話をしてくれた。登校時に転んで血が出たことがあり、近くの文房具屋さんに寄ってばんそうこうを買って行こうと思ったが、さすがに文具しか売っていなくて困っていたら店のおばちゃんが「自宅にあるから持ってきてあげる。売り物じゃないからお金いらんよ」と言って裏の自宅から取ってきてくれたそうだ。転んで血も出て泣きたい気分だったけれど、おばちゃんの優しさで痛みも吹っ飛んだわと母は言っていた。現代はSNSのつながりはあっても人間同士のつながりは薄れてしまっていると思う。それでも、一人一人を見つめるとこの記事のように相手を思いやるという人間の根本にあるあたたかさは今でも残っていることが分かった。高校生だけでなく地元紙の方のなんとか探してあげたいという強い思いもきっと届いたのだろう。令和の時代にも袖振り合うも多生の縁が生き続けるよう僕も心がけていきたい。今はまず、ばんそうこうをかばんに入れて。