第10回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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福岡県粕屋町立粕屋中央小学校 5年 清武 琳(きよたけ・りん)

意見を聞いた人:自分が入院している病院の方々

記事見出し

ベイリーありがとう ファシリティードッグ引退(毎日小学生新聞2018年10月25日付)

授賞理由

脊柱側弯症を患い手術や入退院を繰り返す清武さんは、病院の医療チームの一員として働くファシリティードッグについて取り上げた新聞記事に出合い、その存在を知った。自分が入院する病院にもいてほしいと考え、資料を取り寄せた上で病院あてに導入を求める手紙を送った。

病院は真剣に考えてくれたものの、多額の費用がかかるため難しいと回答。しかし、清武さんはあきらめなかった。他の患者との対話を通じて、ファシリティードッグの存在を知らない人や、導入を強く求める人がいることを知り、病院に働きかけて書籍を置いてもらうなど、その存在を周知する取り組みを始めた。

一本の新聞記事をきっかけに改善策を自分なりに考え、実現に向けて周囲を巻き込んで大きな影響を与えた。自身が置かれた状況から課題を見いだし、困難を乗り越え実現しようと行動する姿は、新しい時代に求められる能力を体現していると高く評価された。

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

ぼくはこの記事を読んで、初めてファシリティードッグのことを知った。ぼくは脊柱側弯(そくわん)症のため、手術や入退院をくり返している。ぼくは、自分が入院している病院にも、ベイリーのような犬がいてくれたら、どんなにいいだろう、と思った。ぼくは、「シャイン・オン!キッズ」に手紙を書いて、資料を送ってもらった。そして、院長先生に、ファシリティードッグの導入をお願いする手紙を書いて、この記事のコピーや資料と一緒に渡した。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

院長先生と総務課の人たちは、ぼくの手紙を読んで、真剣に考えてくれた。でも、多額の費用がかかるため、ファシリティードッグの導入は難しい、との返事だった。ロボット犬や訪問セラピー犬はどうか、という意見も出たそうだ。院長先生はぼくの気持ちを考えて、返事を3回も書き直して下さった、と後から総務課の人に聞いた。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

導入は難しい、と言われたことはとてもショックだった。でも、院長先生や総務課の人たちが、ぼくのために時間を使って一生けん命考えてくれたことは、とてもうれしかった。入院中、他の人にも意見を聞いてみたら、ファシリティードッグを知らない人もたくさんいたが、導入を強く願っている人がいることもわかった。ぼくは、まず多くの人にファシリティードッグのことを知ってほしい、と思った。ぼくは図書カードを病院に寄贈して、病棟の図書コーナーに、ベイリーの本を何冊か置いてもらった。この記事と出会って、ぼくの新たな挑戦が始まった。これからも、ファシリティードッグの導入のために、ぼくにできることはないか、考えていきたい。今年の8月、東京で7年ぶりにファシリティードッグが導入された。ベイリーの引退後、日本で活動しているファシリティードッグは、3頭しかいない。いつか、日本中の病院で、ベイリーの後輩たちが活躍する日がくることを願っている。