第9回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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佐賀県立小城高等学校 3年 西 ひなた(にし・ひなた)さん
意見を聞いた人:父
記事見出し
企業、若手確保へ効率化(佐賀新聞2018年3月2日付朝刊)
(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください
私は、近年、日常生活に浸透してきたAIが、企業と強い結びつきを持とうとし始めていることに危機感を覚えたので、この記事を選びました。自分の人生を大きく左右される就職試験で、プログラミングされた判断基準しか持ち得ない機械に、どうして頼ることができるのでしょうか。また、採用をAIと人間の二度手間をかけることと、人間同士で判断し合うのは大差ないと思います。「効率化」が楽をするための言い訳のように感じました。
(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください
父は「通年採用とAIの導入により効率化を図り、若手の確保を狙うという意味では、利点は多数あると思いますが、デメリットも少なからずあると思います。『優秀な人材』とは。企業のコンセプトに合った人材の見極めが適正に行われるだろうか。目的のために意欲的に働く人材をどう取捨するのか疑問です」と言っていました。
(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください
私は、父の意見を聞きいっそうAI導入への不信感が高まりました。この不信感を現代社会に表面化させたのが、若い労働者の自殺だと思います。人手不足や効率性、いわゆる「時短」を追求したばっかりに、人材の見極めが確実に行われず、適正に欠けていた若者が犠牲になっているように考えざるを得ません。確かに、就職面接を受けにきた人は、志望動機は違えど同等の意欲を持って試験に臨んでいるはずです。しかし、それを前提としたとしても、集まった人の中から相手の人間性を見極め、適性を判断し、企業自身のコンセプトに沿った人材を引き抜き、選別をすることが企業にとって最大の責任ではないでしょうか。現時点で、人間が果たせていない責任をAIに背負わせても、苦しむ人々が増えることは一目瞭然です。将来の担い手が、自らの人生をかけて挑む勝負には、無機質な「人工的選別装置」ではなく、思慮分別のある「責任者」が真摯に向き合うべきだと思います。