第9回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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名古屋市立志段味中学校 3年 道源 琴乃(どうげん・ことの)

意見を聞いた人:父

記事見出し

亡くなった子 おなかに残し夜勤~妊娠と仕事 上(読売新聞2018年7月23日付朝刊)

授賞理由

亡くなった子供をおなかに残したまま働かされた女性の声を取り上げた記事を、愛知県の道源さんが見つけた。

女性が休むことを許さなかった職場の上司に対し、非人道的な扱いに憤るしかないと率直な気持ちをつづった道源さん。父親と話し合い、女性活躍推進の理念が人手不足の深刻な企業にまで届いていない現実を知ったが、これは「人手不足などという理由で片づけていい問題ではない」と考えた。医大が女子受験者を減点していた問題にも触れ、「事態を改善するには厳罰化するしかない。女性は妊娠するから使いづらいなんて考えは、絶対に許してはいけない」と提言した。

妊娠中の働き方に関する記事と、医大の入試で明らかになった女性の扱いの根底に共通する課題に気付いた。問題を自分のこととして考え、提言に結び付けた点が高く評価された。

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

「亡くなった子 おなかに残し夜勤」。私は最初、この見出しの意味を勘違いしていた。不慮の事故か何かで我が子を亡くした母親が、仕事を休めず働いたのだと思っていた。しかし、現実は見出しの通りで、胎児が死亡したのに休むことを許されず胎内に胎児を残したまま働かされたというのだ。私はこの非人道的な扱いに憤るしかなかった。職場の上司は自分の妻や娘に対しても同じことが言えるのか。人の心があれば、絶対にできないはずだ。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

父は記事を見て「政府は女性活躍推進を掲げているが、それは女性の社会進出を促進するためではなく、労働人口の減少を補うことが真の目的だ。実際、女性を働きやすくするための実効的な施策や予算措置の裏付けはほとんどないため、人手不足の深刻な企業に、女性特有の事情に配慮しようとのインセンティブは働かない」と語った。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

結局多くの企業にとって女性はお荷物なのだろうか。だが、記事の女性が受けた仕打ちは、人手不足などという理由で片づけていい問題ではない。女性は体調の良しあしに関わらず休むことができたのに働かされ、労働者の権利を侵害された。胎児の死亡は他人に知られたくないデリケートな事情であるから、女性は権利を声高に主張できなかった。「胎児の処置が医学的に不急」。そんな医療機関としての知見を悪用され、たかだか人手不足を理由に勤務を強制された。女性の心情は一切配慮されなかった。つまり、女性の職場は労働関係法令に違反しただけでなく、人道にももとる行為をとったのである。最近では医科大の女子受験生に対する減点措置が露見するなど、女性蔑視の根は深い。事態を改善するには、このような不当な行為を厳罰化するしかない。組織にも責任を取ってもらう。女性は妊娠するから使いづらいなんて考えは、絶対に許してはいけない。