第7回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作
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埼玉県鶴ヶ島市立栄小学校 4年 須藤 貴海(すどう・たかうみ)さん
意見を聞いた人:母
記事見出し
「ここで起きたことを忘れないで 東日本大震災から5年」(朝日小学生新聞2016年3月3日付)
授賞理由
東日本大震災で74人の子供が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校。埼玉県の須藤さんは津波と被災について考える記事を選んだ。
初めは憤りを覚え、子供たちの死をかわいそうと思うが、母から、子供を失った父親がこのつらい出来事を伝え続ける気持ちを考えてみてと言われ、震災を通して「学んだことをこれからに生かしていくことで、亡くなった子どもたちに意味を与えようとしている」ことに気付く。
校舎の保存で論争が起こるなど、大人でも難しいテーマに真正面から向き合った。
「防災とは『ただいま』を言うこと」。話し合いのなかで「行ってきます」と「ただいま」が家族の合い言葉になったと、対話を通じて記事が問いかけることを自身の日常生活に引き寄せ、行動を変えることまでに結びつけた点が高く評価された。過去から未来への希望を見いだそうとする姿勢もすばらしい。
(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください
「防災とは『ただいま』を言うこと」。この言葉がずっと心にのこって消えなかったので、この記事を選びました。51分間もかけてやっと避難を決めたのが川の近くなんて。先生は自分の立場が分かっていない、正確な判断をしていれば74人は助かったはずだとくやしい気持ちになりました。先生を信じて言うことを守っていたのに亡くなった子どもたちがとてもかわいそうです。ぼくと同じように、勉強したり友達と遊んだりしていたのに。
(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください
母は「私も貴海やパパが『行ってきます』を言うたびに、どうかちゃんと『ただいま』も聞かせてねと思っているよ。当たり前の『ただいま』だけど、言いたくても言えなかった子が大川小に74人もいたんだね。つらいだろうにどうして佐藤さんはこのできごとを伝え続けているのか、貴海に考えてみてほしい」と言っていました。
(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください
母と話して、ぼくは佐藤さんの気持ちになって考えました。きっと、「大川小の子どもたちを忘れないでほしい」という思いと「二度とくり返さないでほしい」という気持ちでみんなに伝え続けているのだと思います。もう帰ってこない命を「悲しい」「かわいそう」と思うだけでなく、このことから学んだことをこれからに生かしていくことで、亡くなった子どもたちに意味を与えようとしているんだな、と感じました。だから、ぼくは大川小の校舎をのこして未来の人たちにもできごとを伝えていくことに賛成です。それに、解体してしまったら74人の居場所がなくなってしまう気がしてさみしいです。この記事を母と読んでから、「行ってきます」と「ただいま」が家族の合い言葉になりました。全ての子ども、家族が毎日「ただいま」を元気に言い合えるように、ふだんから「命を守るための話し合い」を家や学校でしておくことがとても大切なのだと思いました。