第6回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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(愛知県)椙山女学園高等学校 2年 水谷 舞依(みずたに・まい)さん

意見を聞いた人:祖母

記事見出し

カップが紅で染まった日/化粧ができる平和(中日新聞2015年7月12日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

戦争とは命を奪うものだとずっと考えてきた私に、それだけではないことを気付かせてくれたのがこの記事でした。戦争によって、化粧やおしゃれをする楽しみさえ奪われ、周りからは非難の目を向けられるという状況が、戦争が人にもたらすものを語っていると感じました。また、そんな状況でも美しくあろうとする人間の強さも、原爆投下後の福原さんの行動からひしひしと感じました。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

祖母は「終戦のとき自分は7歳だった。だから福原さんのように喫茶店に行ったりはしていないから彼女の気持ちはわからない。でも言うことはわかる。化粧なんてできないし服も配給制で、みんな今は貴重なかすりのもんぺを着ていた。靴もないから家で編んだわら草履を履いた。終戦後も服より食べることに必死だった」と言っていました。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

祖母が話の中でよく使ったのが「余裕がなかった」という言葉でした。戦争が激化するにつれ、福原さんのように化粧やおしゃれをする楽しみを奪われる結果になったのも、戦争により国や国民に余裕がなくなっていったからだと思います。確かに明日を生きることで必死な状況で、服や髪のことなんて余分なことかもしれません。だからこそ私は、その余分なものを私たちが楽しむことができる環境を平和だと捉えます。余分なものを楽しめてこそ、人は強くあれるとも私は思います。戦時下でもこっそり化粧をした福原さんの「きれいにしたい」という思いがあったから、原爆投下後の広島でも「生きにゃならん」と願うことができたのではないでしょうか。私たちが守っていかなくてはならない平和は、お互い顔も知らない者同士が殺し合うことのない世界だけでなく、ただ私たちがそれぞれ好きなものを楽しみ、新しい文化を創造し、それが誰にも破壊されない世界だと、私は考えます。