第3回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校 1年 木田 夕菜(きだ・ゆうな)さん

意見を聞いた人:母

(1)この記事を選んだ理由を書いてください

突然の災害、そして原発事故によって、故郷を失った人々が苦しむ姿を、私はテレビのニュース映像を通して何度も目にしてきた。しかし、この事故がもたらした人々の心に対する被害は、もっと深く、複雑であり、私の理解は、まだ一面的であったことに気付かされた。

(2)記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

差別や中傷は理由を問わず、許されない行為である。それはみんな分かっている。しかし被災者の立場に立てば、行き場のない怒りや苦しみから、原発関係者と聞けば、本来ならばできるはずの正しい道徳的な判断を誤らせてしまうのではないだろうか。そう考えると、差別や中傷を行っている人々を、決して単純に非難できないと思う。

(3)家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

母は言う。あの事故以来、私の住む市に隣接している原発所員の家庭では、自分の子どもへの差別を恐れ、子どもには、決して親の職業について答えないようにと言い付けているそうだ。もし、一つの差別が少しでも許容されることになれば、それを糸口に、何の罪も、何の関係もない人までもが、差別の対象になるのではないかと。

(4)話し合った後のあなたの意見や提案を書いてください

記事に記されているように、原発所員も被災者であり、原子炉建屋の爆発を目前にしながらも、懸命に日々復旧に努めており、共に苦しみや悲しみを分かち合うべき人々である。ただ、人は誰しも自分の身に降りかかる悲しみが大きいほど、それを何かに転嫁することで、悲しみを軽減させようとする。それは私もきっと同じであろう。しかし、結果的にはそれが復興を遅らせる皮肉な結果になることを、この記事は私たちに警告している。口で言うほどたやすいことではないのはよく分かる。しかし、本当に今大切なのは、加害・被害に線を引き、自分の怒りや悲しみを線の向こう側に押しやることではない。それよりも、互いが互いの立場に立って、相手の思いを斟酌(しんしゃく)し、相手の心の痛みに敏感になることではないか。きっとそれは、一人一人の絆を深め、被災者全員の悲しみ、苦しみを和らげながら、復興という未来に向けての歩みを支える新たな、そしてあたたかなエネルギーとなるのではないだろうか。