家族で新聞を読んでみよう!

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東京都練馬区立光和小学校教諭(=当時) 竹泉 稔

「新聞って楽しいね」――こんな言葉が子どもたちから聞こえてきたら、なんてすばらしいことでしょう。ご家族の誰もがそんな願いを持っているのではないでしょうか。

でも、どうやったら子どもたちが新聞を読むようになるのでしょうか。困っているお父さん、お母さんも多いことでしょう。

悩む前に、まずは一緒に新聞を広げてみませんか。親子で楽しむ新聞の世界が幕を開けます。ファミリーフォーカスの始まりです。

1.新聞は難しくない! 小学校低学年からのファミリーフォーカス

新聞を子どもにいきなり渡して、「読みなさい!」と言っていたのでは新聞嫌いの子どもにするだけです。これは高学年でも言えることです。まして、ひらがな、カタカナを覚えたばかりの低学年の子どもには外国語を読むようなものです。

漢字や難しい言葉が理解できなくても、新聞には案外面白いことが載っているということに、気づかせることからまずは始めましょう。

「写真がいっぱい!――新聞は見るもの」

子どもたちは自然が大好き。特にかわいい動物を見ると、きらきらと目を輝かせ、とても生き生きとした表情を見せてくれます。

新聞には毎日のように動物や植物など自然を扱った写真が掲載されています。お父さんやお母さんが新聞を読んでいて、生き物の写真を見つけたときがチャンスです。

「○○ちゃん、来てごらん!」と子どもを呼んで、ソファーに一緒に並んで座りましょう。そして、自分の言葉で写真のすばらしさを子どもに語ってください。きっと、すてきな言葉が、子どもから返ってくるはずです。

さりげなく、新聞に親しむ機会を作ってあげることが大切です。

「新聞の切り抜き大好き!」

子どもは作業が大好きです。お気に入りの写真があったら、はさみで切り抜いてごらんと声を掛けてみましょう。子どもたちは大喜び。新聞からつぎつぎと写真を切り抜き始めます。広告の写真でも四コママンガでもかまいません。子どもの思いを大切にして、けがをしないよう温かく見守ってください。子どもへの何気ない質問が親子の会話を弾ませるきっかけになることでしょう。

「写真でお話を作ろう」

「せんせい、あのね、・・・」で始まる「あのね帳」。読むのを楽しみにしているご家族も多いことでしょう。新聞の切り抜きに飽きたら(慣れたら)、切り抜いた写真でお話を作ってみましょう。子どもはお話作りの天才です。どんどんイメージを広げて、夢のあるお話を作ってくれます。

ただし、いきなり「お話作って!」は禁句です。何ごとも手本が大切。子どもたちは、お父さんやお母さんのお話が大好きです。「あのね、・・・」で始まる短いお話(写真の簡単な説明でもかまいません)を書いて、読んであげましょう。

まず、切り抜いた写真を張って、お話を書くための紙を用意しましょう。A4サイズのコピー用紙など写真が張れて、お話を書く部分があればどんなものでも構いません。慣れてきたらノートやスクラップ帳を用意するのもよいでしょう。

軌道に乗ってきたら「季節を探そう!」「幸せ探そう!」「生き物探そう!」など、子どもと相談してテーマを決めて、取り組んでみましょう。

できたお話は、お子さんに声に出して読んでもらいましょう。大きな声ではっきりと伝えさせます。その後、お話について話が弾めば最高。それがだめでも、励ましの言葉をかけてあげるのを忘れないようにしましょう。

2.中学年からのファミリーフォーカス

小学校の新聞スクラップは、低学年でも、中・高学年でも基本的には写真が中心です。学年の発達段階に応じて写真のキャプション、見出しやリードなどを利用します。最近、小学生の新聞への投稿が増えています。同世代の意見で、難しい語句も少ない投稿も使ってみましょう。

また、高学年になると興味や関心の持ち方や文章を読む力に個人差が出てきます。子どもに合った新聞の読ませ方や活用のしかたを考えたいものです。あまり背伸びをさせることなく、親子で新聞を楽しむことをスタンスにしてファミリーフォーカスを続けていきましょう。何ごとも継続は力なりです。

3.親子で新聞スクラップにチャレンジ!

中学年から理科と社会科が始まります。自分の身の回りや学校から社会に目を向ける機会が大きく広がっていきます。理科や社会科で扱うような内容が新聞で取り上げられることが多くなります。また、国語の教科書には新聞記者の仕事や記事の書き方を教材にしているものもあります。低学年の時以上に新聞の利用価値が高くなっていきます。

そこで、生きてくるのが新聞スクラップです。「あのね帳」の中・高学年バージョンです。学習に関係すること、興味や関心をもっていることについて新聞記事を集めさせます。それをスクラップ帳に張って、感想や意見などを書かせます。その際、新聞名、発行年月日、記入日などを忘れずに書くようにします。テーマを決めてスクラップをするのもよい方法です。

新聞スクラップで大切なのは、やはり家族のかかわり方です。子どもに任せっきりでは長続きしません。親子一緒に取り組む姿勢が重要なのは低学年と同じです。つかず離れず、強制せず、そして手伝い、励ましていくことが、子どもにとって継続のエネルギーになります。

4.家族の一言コメントで意欲倍増!

ファミリーフォーカスは親子のコミュニケーションを豊かにしていきます。子どもがスクラップした記事について親子で意見交換ができるようになれば、こんなにすてきなことはありません。初めのうち難しいようでしたら、次のような方法もあります。

  • (1)新聞スクラップ帳に家族からのコメント欄を作り、一言でもよいので言葉を書き添えます。自分が書いた感想や意見に、家族からコメントをもらうのはうれしいものです。
  • (2)記事について家族の感想・意見を取材して、それをスクラップ帳に書かせるようにします。取材して書くというより高度な作業ですが、人の話を聞く力や書く力が伸びます。

5.親子で記者になろう!楽しい現地取材

分からない言葉や関心を持ったことは調べて、スクラップ帳に記入します。事典やインターネット、図書館を活用する習慣も自然と身についていきます。

夏休みや冬休みなどは、親子一緒に取材活動をするチャンスです。博物館や公園などに出かけて、スクラップしてきた記事について詳しく調べてみましょう。新聞への関心と親子のきずなが深まること間違いありません。