生涯学習としての韓国NIE
03年9月、ソウルの陽川(ヤンチョン)図書館、ソウルの南回貞(ナン・ヘジョン)さんの家庭、ソウル近郊高陽(コヤン)の松浦(ソンポ)初等学校を訪ねました。7回目の韓国とのNIE交流です。
陽川図書館では、00年2月から母親、子どものNIE講座に取り組んでいます。1期5か月の講座で毎週1回行い、講座が終了すると親子で取り組んだ新聞を活用しての作品展覧会を開きます。02年6月に訪問したときのテーマは「韓日ワールドカップ」、今回は「環境」でした。多様な表現でのプレゼンテーションが見られました。母親や子どもを指導している金英花(キム・ヨンファ)さんは、「親はやり方が分かれば家庭で取り組む。家族で記事を探していくとお互いの考えが分かるようになる」と語っていました。
南回貞さんと小学校5年生の息子さん、2年生の娘さんのファミリーフォーカスを見ました。その日の一般紙朝刊を使って家族でのNIEです。(1)それぞれ関心のある記事を探す、(2)声に出して記事を読む、(3)分からない言葉を辞書などで調べる、(4)キーワードにしるしをつける、(5)分かったこと、自分の考えを書く。体系的な方法が展開されています。父親の姜正琪(カン・ジョンギ)さんも新聞記事の見出しや内容、データをもとに「すごろく」を作成したり、韓国の歴史を年表に整理して、子どもがニュースに関心を持ち新聞を読むことにつなげています。南さんは「親子でのコミュニケーションがとれ、新聞に載っていた場所や博物館など一緒に行くようになった」と話していました。
韓国NIEは95年から始まりました。韓国新聞協会が全面的にバックアップしていないので日本のような広がりはありません。しかし、私の最初の韓国NIE訪問は96年でしたが、その時から学校・家庭・社会教育の生涯学習としてNIEをとらえていました。日本のNIEは欧米とともに、韓国からも多くのことを学べるのです。
(聖心女子学院初等科教諭 岸尾祐二)「NIEニュース」第34号