第17回NIE全国大会(福井)
2日目・分科会 「NIE初心者教師の入門編に」 特別分科会 子供新聞テーマに討議
NIE全国大会2日目の分科会では、小中高校別の公開授業や実践発表などでさまざまなNIEの取り組みが紹介された。
福井県の食育実践校にも指定されている福井県坂井市立長畝小学校の北倉敦子教諭は、新聞記事などを通じて食生活を見直す公開授業を行った(写真)。小学6年の総合学習の授業だ。「友達の発表を聞いて自分の食生活について振り返る」ことを目的に作った壁新聞を発表した。
引き続いて開かれた研究討議で北倉氏は、「実際に壁新聞をまとめる際には、新聞社の出前授業を活用し、指導を受けた」などと説明した。
特別分科会「子ども新聞で考える」では、新聞各社が近年、相次いで創刊している子供新聞について、新聞社の編集担当者を交え、教師らがパネル討議に臨んだ。
コーディネーターを務めた共同の宮城孝治大阪支社長は、「子供は子供新聞を読んでいるのか、子供新聞は学校教材として使えるのかという2点に着目し、課題を明確にしたい」と狙いを説明。昨年の子供新聞創刊ラッシュについて、幅広い年齢層の読者に分かりやすく親しみやすい紙面を作ろうという動きは、新聞全体が変わる契機になると話した。ただし、子供は面白くなければ、苦情を言わずに読まなくなるだけであり、ニーズを探るためのマーケティングが重要だと述べた。
福井の子供新聞「こどもタイムズ+(プラス)」の編集長を務める佐藤哲也文化生活部副部長は、県内の話題を増やす、子供記者に身の回りの話題について記事にしてもらうなど、独自性を出すための工夫を紹介した。「子供だけでなく、NIE初心者の教師の入門編になればと考えながら作っている」と話した。
神奈川県横須賀市立田戸小学校の臼井淑子教諭は、子供の興味は多様だが、それに迎合して編集方針が流されるのはよくないとの考えを示した。子供の興味に寄り添いながらも、質の高い紙面を作ってほしいと訴えた。
福井県大野市立上庄小学校の前校長でNIEアドバイザーの福田玲子氏は、「子供新聞を読んでいるかどうかは、子供と家族とのつながりを反映している面もある」と指摘。子供が興味を持ち、親に教えてあげられるような記事を載せてほしいと述べた。