第16回NIE全国大会(青森)
2日目分科会 小学校 震災通じ新聞の役割考察 中学校 広告で作り手の意図実感
NIE全国大会は2日目の7月26日、青森市立堤小学校、同市立浦町中学校、青森県立北斗高校で分科会が開かれた。公開授業や実践発表などで多様なNIEの取り組みが紹介された。小学5年社会科の東日本大震災の報道に関する公開授業、中学校国語科の新聞広告を用いた実践発表を取材した。
堤小の青山茂成教諭は、東日本大震災を通して新聞の役割を考える公開授業を行った(写真)。避難所などで目にする「取材お断り」の張り紙を見せながら「どうして断られるのか」と児童に問いかけると、「地震で混乱しているのに、取材されるとさらに混乱する」などの答えが返ってくる。そこで青山教諭は、さらに「でも記者は取材する。誰のため、何のためだろうか」と問いかけた。
地元紙と全国紙の記者が被災地を取材して感じたことを青山教諭が聞き取り、まとめた資料を配ると、児童は次々と手を挙げ、「地元紙記者は被害の大きさよりも市民のライフライン情報を伝えたいと思っている」「全国紙記者は、多くの読者に被災者の悲しみや怒りを伝えようとしている」などの意見を発表した。
その後、ゲストとして朝日の森井英二郎カメラマンが登場。「人が悲しんだり苦しんだりしている写真を撮るのはつらいが、撮影しなければその悲しみや苦しみが消えてしまう」と写真に残す理由を説明した。
授業の最後にある児童は「記者は自分に何ができるのか考えて取材しているのが分かった」と話した。
その後の研究討議で青山教諭は「情報を集める意味や記者の気持ちを考えさせたかった」と授業の狙いを説明。参加者からは「新聞をじっくり読ませ、作り手の意図の違いを実感させる時間を作るとよかった」との助言があった。
弘前大教育学部付属中の須郷和歌子教諭は、ACジャパンが制作した文字・活字文化推進機構の新聞広告を使い「新聞広告でレトリックを読む」と題し実践発表した。キャッチフレーズ「読めば、あなたの『知層』になる」を取り上げ、なぜ知層という造語が使われているのかを考えさせた。授業の様子を収めた映像には、生徒が「新しい言葉には見る人が興味を持つ」「知識が積み重なるというイメージが湧く」と発表する姿が映された。研究討議で参加者は「商業広告を使えば経済活動が見えてくる。新聞広告はさまざまな形で使える」と感想を述べた。