第16回NIE全国大会(青森)

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新聞で言語活動の充実を NIE全国大会 青森市で開く 実践教師ら850人参加

 第16回NIE全国大会は7月25、26の両日、「読み解く力 新聞で―学校・家庭・地域からNIE」をテーマに青森市で開かれ、NIE実践教師や新聞社のNIE担当者ら850人が参加した。1日目は青森市文化会館で、開会式に続き日本教育大学院大の北川達夫客員教授が記念講演、青森県NIE推進協議会の児玉忠会長(弘前大教授)らがパネル討議(別項)した。2日目は地元の小・中・高校に会場を移し、分科会で公開授業や実践発表などが行われた。大会終了後にはワークショップ「東日本大震災から考える」が開かれた。

 大会は新聞協会が主催。青森県教育委員会、青森市教育委員会が共催し、県NIE推進協議会、東奥日報社が主管した。

 開会式は冒頭の東日本大震災犠牲者への黙とうに続き、博物館・NIE委員会の河田卓司委員長(読売東京)があいさつ(写真)。「震災の影響がいまだに残る中、東北、青森県で開催することに大きな意義がある」と述べた。また、新聞活用を盛り込んだ新学習指導要領の小学校での全面実施に触れ、「NIEにとって今年は大きな節目。児童・生徒が情報を取捨選択し、読み解き、発信する、という言語活動の充実には、紙の新聞こそ有効だと確信している」と話した。

 東奥の塩越隆雄代表取締役社長・主筆は震災直後の状況について「停電でテレビやインターネットが使えず情報が入ってこなかった。東北地方は孤立を強いられた」と説明した。そうした中で「新聞で被害の大きさを知ったという声が多く寄せられた。新聞が持つ責任の大きさ、文字・活字の力を再認識した」と述べた。

 県教委の橋本都教育長は「NIEは子供たちが社会と主体的に関わる姿勢を育むとともに、読解力やコミュニケーション能力の育成に大きな役割を果たす」とNIEへの期待のメッセージを寄せた。

 続いて北川氏が「『ことばの力』を身に付ける―急速に変化する世界だからこそ、立ち止まって考えよう」と題し記念講演した。大学卒業後、外務省に入省した北川氏は、自分の所属する部署の業務に関わる新聞記事をスクラップし、情報に優先順位を付けて上司に報告することが最初の仕事だったと説明した。毎日続けると「ある日突然、自分の仕事や、全体の中で一人一人がしている仕事の内容が分かるようになった」と振り返り、新聞スクラップで情報を整理することの効用を話した。

 北川氏は「急速に変化する社会では、大きな物語を語る人が必要になる」と主張。「新聞は過去を踏まえた上で現在を叙述している。今後どんな未来にしたいか、そのために何をすべきか、新聞を用いた教育で、大きな物語を語る子供を育ててほしい」と期待を述べた。