第16回NIE全国大会(青森)

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1日目パネル討議 実践の効果、明確に発信 課題は「どう手に取らせるか」

 NIE全国大会1日目の7月25日、パネル討議「読み解く力 新聞で―新学習指導要領とNIE」が青森市文化会館で開かれた(写真)。大会実行委員長の児玉忠・青森県NIE推進協議会会長(弘前大教授)がコーディネーターを務め、東奥日報社の南谷毅生活文化部長、日本NIE学会理事の阿部昇・秋田大教授、文部科学省国立教育政策研究所の杉本直美学力調査官、青森市立千刈小学校の大賀重樹教諭がパネリストとして登壇した。

 児玉氏は、新要領に新聞活用が明記されたことで、NIEの大衆化が始まったと指摘。全教師、児童・生徒がNIEに取り組むことで、実践の質も一様でなくなることが予想されることから、より学習効果を明らかにする必要があるとし、「『新聞で身に付く力』とは何かを明確にしなければならない」と提案した。

 阿部氏は「新聞は書き手が事実の中から取捨選択する。それを児童・生徒が考えて読むことが必要だ」とした上で「他の新聞と比べつつ、記事を評価・吟味・批判しながら読む力を身に付ける」学習を推奨。「NIEが大衆化している今が、優れた実践を集約して効果を発信するターニングポイントだ」と話した。

 川崎市立中学校で国語教諭をしていた杉本氏は、「朝刊と夕刊、一面と終面の区別が付かない生徒がいた」経験を踏まえ、2010年度全国学力・学習状況調査で架空の新聞の1面を使った問題を作成した。「トップ記事とコラムの違いが分からない生徒が多かった。文章の種類の違いを知った上で新聞を読むことは、目的に沿って素早く情報を得る力につながる」と話した。一方で「情報を発表する手段、得る手段として『なぜ新聞なのか』を、教師はもっと意識する必要がある」と提起した。

 大賀氏は、新聞を使った言語活動の指導例として、児童が月1回、親が読むことを想定して作る新聞を紹介した。「書きたいことがあふれて記事量が多くなっても、児童は文章を練って簡素で的確な表現を考えるようになる」と話した。また、「ファミリーフォーカス」が重要だと主張。親子は主観的に会話することが多いが「新聞記事について親子が第三者の立場で話し合うことで、ニュースへの理解が深まる」と説明した。

 南谷氏は「新聞は、読む人が興味を持っていること以外の情報も掲載している。新聞を読むことで子供は新しい興味を広げられる」と述べた。一方で「新聞を子供たちが手に取るためにどうするかが新聞社の課題だ」と指摘。「教師が授業で使いやすい記事の掲載や、記者派遣のさらなる充実が重要だ」と話した。