NIE GET STARTED(2005年版)

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What is Newspapers in Education?

NIEは60か国以上(当時=2005年)で行われているが、多くの国でその概念が知られないままである。世界新聞協会(WAN)の事務局は、単独の新聞社や新聞社の団体がNIEを始める際の援助となるようなことを求められてきた。こうした要望に応えるため、WANの次世代読者委員会(Young Readers Committee)のメンバーが以下に自らの経験や助言をまとめた。

NIEは「教育に新聞を(Newspaper in Education)」の頭文字をとった呼び名として世界中で使われている。新聞界と教育界とが協力して取り組む活動である。NIE活動で学校は歴史、国語、社会科学、数学、経済、作文、ジャーナリズム論、政治――といった様々な科目で新聞を使っており、これは全学年に及ぶ。

NIEの目的はふたつある。第一が、効果的な教育プログラムを通じて読み書き能力を向上させること。第二は、新聞を読むことを奨励し民主主義社会を構成する市民を育成することである。教室で新聞を使うことで注目すべき調査結果がたくさん示されている。新聞で学習した子どもたちは、従来の教材を使う子どもたちより読み書きの面で著しく学力を向上させている。また、子どもたちは社会の窓である新聞を通じて世の中により一層興味をもつようになっていることも明らかである。識字率が低く、民主的でない社会にとって、NIEの衝撃はとても大きなものだ。もちろん若者は、新聞の未来に大きなかかわりがあり、NIEはビジネスの側面ももつわけだ。

NIEは1930年代に初めて導入されたといわれている。今日では、幼稚園から大学まで幅広い層を対象に60か国(同上)以上でNIEプログラムが提供されている。学校にとどまらず、刑務所、老人センター、心身障害者施設や移住者のための語学教室でも行われている。1991年にはWANに次世代読者委員会が設立され、NIEも国際的に知られるようになった。

NIEを始めるには、学校そして新聞社で中心的な役割を担う人が必要とされる。学校では校長、先生、指導主事がNIEのプログラムに加わらなければならない。一方、新聞社では、経営者、販売局、編集局、記者、販売店、NIEの代表者を巻き込んでいかなければならない。NIEが成功するには、学校と新聞社の緊密な関係が不可欠である。国家単位でこうしたプログラムを展開していくには、新聞発行者の団体の協力を得るべきであり、なるべくならば文部省のようなところも巻き込んだほうがよい。いくつかの国では文部省と合意ができないとNIEを始められないところもある。地域レベルでは、視学官だけでなく教員研修所や大学もNIEの重要な推進役になりえる。

警告 NIEは一晩で確立できるものではない。最初は小さく、もっているものを使い、最善を尽くすことだ!

注意 あなたの熱意はあなたの一番のセールスポイントだ!

最も早道は仲間から学ぶことだ。世界中に何百もあなたの仲間はいる。彼らの助言をここに公表する。状況はそれぞれ異なるので、最も合うものを選べばよい。

Who Benefits how?

新聞社と学校の協力は、地域社会に関してはいうまでもないが、両者に利益をもたらす。

学校の利益

  • 学生の読解力が増し、学力が向上する
  • 学生の「考える」力を磨く
  • 生活にかかわりのある材料を新聞が提供することで、学生の興味や自発性を増す
  • よりよい民主主義社会の構築のために市民性を養う
  • 新聞を使えば教師と学生の立場は同じになる
  • 先生の記事を教える指導テクニックを高める
  • 地域社会と学校の結びつきを強化できる
  • 学生たちの家族との関係を改善できる

新聞社の利益

  • 長期読者層の育成――初期の段階で新聞を読むようになれば、新聞の熱心な読者になることを多くの研究が示している
  • 社会全体そして地域社会へ貢献できる
  • 新聞の配布部数を増やす――学校は週または月に何千も新聞を注文するかもしれない
  • NIEの別刷り発行やNIE欄の特定読者を通じて広告収入を増やすことができる

社会の利益

  • 新聞記者、教育関係者、学生そしてその保護者が相互に理解しあうことで、学校や地域社会に参加する市民の質を高める
  • 学生を関心が高い積極的な市民に養成できる
  • 教室を卒業した人にとって、新聞は社会の一員として自らを教育する材料となりえる