新聞を読む子は学ぶ力が高い!

新聞読む子供は正答率高く

文部科学省実施の学力調査と生活習慣などを尋ねたアンケート結果を分析したところ、新聞閲読習慣と学力との間に相関関係があることが分かりました。新聞で培った言語力が問題文の理解に役立つだけでなく、社会への興味を育む上で新聞活用が大きな力を持ちます。

地域や社会の出来事への関心の高い生徒は正答率が高い、という結果も出ています。この分析結果は新聞活用を盛り込んだ新学習指導要領を推進する根拠となるデータと言えます。

新聞を読むように勧めている家庭の子供は学力が高い

文部科学省は家庭環境と子供の学力の関係についても調査を行いました。新聞や本を読むように勧めている家庭の子供は、各教科の正答率が高い結果が出ました。保護者自身の新聞閲読習慣と子供の学力の関係でも、「よく読む」保護者の子供の正答率は「まったく読まない」場合よりも高いことが分かりました。

学習指導要領と新聞新聞活用や新聞作りが教科書に掲載

文部科学省が告示する教育課程の基準である学習指導要領では、各校種で「新聞」が指導すべき内容として明確に位置づけられ、多くの教科書に盛り込まれました。先生方がNIEに確信を持って取り組むバックボーンとなるものです。見出しなどに着目して必要な情報を探しながら新聞記事を読んだり、複数の記事を読み比べて自分の考えを明確にしたりする工夫をこらした授業が行われています。例えば、小学校国語では3、4年「B書くこと」において言語活動例として学級新聞づくりが取り上げられました。このほか社会、総合的な学習の時間、理科、生活、家庭、道徳にも「新聞」が登場。中学校、高等学校でも指導要領解説に「新聞」が明記されています。

NIEで育てたい3つの学力

新聞を活用した学びの大きな魅力は、次の3つの学力を育てることができることです。第1は、「思考力・判断力・表現力」です。なぜなら、深く情報読解された新聞記事は、それ自体がすぐれた学習材となりますし、子どもたちが行う新聞づくりの活動は、思考・判断・表現の活動そのものだからです。第2は、これらの力の土台となる言葉の力やコミュニケーション力を育てることができることです。そして第3は、記事の中に登場する、社会をつくり、それを動かす人間に関心を持つようになることです。

日本NIE学会会長(広島大学大学院教育学研究科教授)小原友行