NIEの学習効果を調べるアンケート結果概要
(2019年11~12月)

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日本新聞協会NIE委員会は、全国各地でNIEを実践する小中学校を対象に、2019年11~12月、「NIEの学習効果を調べるアンケート」を実施しました。小学校37都道府県47校、中学校40都道府県52校の計99校から回答がありました。
アンケート結果(詳細はこちら)をみると、NIEを日常的に実践(週1回以上)している学校ほど、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率が全国平均より高い傾向がありました。

教員時代に新聞活用を続けていた関口修司NIEコーディネーターが調査結果を分析します。

このアンケートを通して、小中学校におけるNIEの日常的な実践により、学力向上が期待できることが分かりました。特に、NIEタイムを日常的(週1回程度)にNIEを実施し、かつNIEタイムを行うことで、より効果が期待できることが明らかになりました(下グラフ参照)。
※NIEタイムとは? →詳細はこちら

NIEコーディネーターによる分析②
「成長に応じた実践で効果アップ!」

「コラムの書き写し」を実施していて、かつ日常的にNIEに取り組んでいる学校の平均正答率は、中学校で国語全体の全国平均を3.9ポイント上回りました。一方、小学校の国語全体は全国平均を1.5ポイント上回るにとどまりました。このことから、中学校での取り組みがより効果的であることが分かります。これは、一般的な小学生にとってはコラムの文章は難解であり、語彙が豊富になり理解力も向上した中学生になってから取り組む方が効果的だからだと考えられます。

NIEコーディネーターによる分析③
「NIEは”最初”が肝心!」

アンケート結果をさらに子細に見てみると、日常的にNIEに取り組む学校の中でも、NIEの実施期間が2年未満の学校において、2年以上続けている学校より平均正答率が高くなりました。この結果は日常的にNIEに取り組むことで、比較的短期間で学力が向上することを表していると言えます。自身の経験からも、早いところだと、3か月から半年で目に見える成果が現れます。つまり、NIEは最初の取り組み方が重要だと言えます。

NIEの効果が現れる条件

  • ◇日常的にNIEに取り組むこと(週1回程度かそれ以上が望ましい)
  • ◇NIEタイム(新聞スクラップ含む)で新聞に親しむ習慣をつけること
  • ◇学校全体で組織的にNIEに取り組むこと

NIEコーディネーターから一言アドバイス
「学校全体での取り組みがカギ!」

学校組織を挙げて新聞が身近になる環境を整え、NIEタイムなどで日常的に新聞を読むと同時に、授業での新聞活用の頻度を増やすことで、子供の学力は確実に上がると考えます。学校全体で組織的かつ日常的にNIEに取り組むことで、NIEを息長く続けられます。それが成果につながります。

分析・アドバイス=関口修司 NIEコーディネーター

調査概要

■調査対象
NIEを実践している小・中学校

■調査目的
日常的なNIE実践による学習効果を具体的に示して教育行政や保護者の理解を深める

■回答校数※かっこ内は全国学力テスト(2019年4月実施)の結果について回答があった校数

小学校 47(36)校
中学校 52(41)校
99(77)校

■調査票

詳しい調査結果

実践頻度高いほど平均正答率高く

NIEを日常的(週1回以上)に実践している学校ほど、全国学力テストの平均正答率が全国平均より高い傾向があることが分かりました。全国学力テスト平均正答率の回答校(小学校36校、中学校41校)のうち、NIEを「日常的に」実践している学校をみると、小学校の国語、算数、中学校の国語、数学それぞれで全国平均を上回りました。一方、実践頻度が「月に1、2回以下」の学校の平均正答率をみると、小学校国語は全国平均を上回っていたものの、算数は全国平均を下回りました。中学校では国語、数学ともに全国平均より低い結果となりました。取り組みがいかに大切かが分かるのではないでしょうか。

「NIE実践頻度」と全国学力テスト平均正答率との相関関係

(1)NIEを「日常的」(週に1回以上)に実践

A.小学校(22校)

22校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 68.8% 64.0% 4.8
「話すこと・聞くこと」 78.1% 72.4% 5.7
「書くこと」 60.4% 54.6% 5.8
「読むこと」 84.5% 81.8% 2.7
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 58.9% 53.7% 5.2
算数 69.8% 66.7% 3.1

B.中学校(22校)

22校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 76.8% 73.2% 3.6
「話すこと・聞くこと」 75.4% 70.6% 4.8
「書くこと」 85.9% 82.8% 3.1
「読むこと」 75.5% 72.7% 2.8
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 71.6% 68.2% 3.4
算数 62.5% 60.3% 2.2

(2)NIEを「月に1,2回以下」の実践

A.小学校(14校)

14校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 66.7% 64.0% 2.7
「話すこと・聞くこと」 73.2% 72.4% 0.8
「書くこと」 58.3% 54.6% 3.7
「読むこと」 83.9% 81.8% 2.1
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 57.5% 53.7% 3.8
算数 65.7% 66.7% -1.0

B.中学校(19校)

19校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 71.9% 73.2% -1.3
「話すこと・聞くこと」 68.2% 70.6% -2.4
「書くこと」 81.7% 82.8% -1.1
「読むこと」 71.6% 72.7% -1.1
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 68.4% 68.2% 0.2
算数 57.6% 60.3% -2.7

NIEタイムで高まる「国語力」

「NIEタイム(新聞スクラップを含む)」を実施している学校の国語の平均正答率は、小学校で全国平均より4.5 ポイント、中学校では1.9 ポイント高い結果となりました。特に、NIEを日常的に実践し、かつNIEタイムを実施している学校の場合、小学校国語の平均正答率は全国平均を5.4 ポイント、中学校国語では4.5 ポイント、それぞれ上回りました。これに対し、NIEタイムを実施していない学校の国語の平均正答率も全国平均より高かったものの、実施校と比べると低くなりました。NIEであっても何を取り組みかで効果は異なります。

「NIEタイム」と全国学力テスト平均正答率との相関関係

(1)NIEタイムを実施

A.小学校(30校)

30校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 68.5% 64.0% 4.5
「話すこと・聞くこと」 76.7% 72.4% 4.3
「書くこと」 59.5% 54.6% 4.9
「読むこと」 84.5% 81.8% 2.7
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 59.3% 53.7% 5.6
算数 68.6% 66.7% 1.9

B.中学校(27校)

27校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 75.1% 73.2% 1.9
「話すこと・聞くこと」 73.0% 70.6% 2.4
「書くこと」 83.8% 82.8% 1.0
「読むこと」 74.2% 72.7% 1.5
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 70.5% 68.2% 2.3
算数 60.9% 60.3% 0.6

(2)NIEタイムを実施、かつNIEを日常的に実践

A.小学校(21校)

21校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 69.4% 64.0% 5.4
「話すこと・聞くこと」 78.6% 72.4% 6.2
「書くこと」 60.8% 54.6% 6.2
「読むこと」 84.9% 81.8% 3.1
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 59.8% 53.7% 6.1
算数 70.0% 66.7% 3.3

B.中学校(18校)

18校
平均正答率
全国平均
正答率
全国平均比
(単位=ポイント)
国語全体 77.7% 73.2% 4.5
「話すこと・聞くこと」 76.6% 70.6% 6.0
「書くこと」 86.6% 82.8% 3.8
「読むこと」 76.0% 72.7% 3.3
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」 72.4% 68.2% 4.2
算数 62.9% 60.3% 2.6 *

*18校中2校が無回答だったため、16校の平均正答率を記載

NIEで「最後まで書く力」を磨こう!

NIEタイム実施校では、国語の記述式問題に対して「最後まで解答を書こうと努力する」児童生徒の割合が全国平均より高い結果となりました。新聞を週に1回以上読むと答えた児童生徒の割合が大きい学校ほど平均正答率も全国平均より高く、新聞を読む子の学力が高いとの全国学力テストの結果とも同じ傾向を示しました。

NIEタイムの実施と国語の記述式問題に対する解答態度との相関関係

A.小学校(28校 *)
*30校中2校が同項目に無回答のため、28校の平均値を記載

28校平均 全国平均 全国平均比
(単位=ポイント)
最後まで解答を書こうと努力した 87.6% 80.6% 7.0
解答しなかったり、解答を書くことを途中で諦めたりしたものがあった 10.8% 17.3% -6.5
全く解答しなかった 1.4% 1.6% -0.2

B.中学校(26校 *)
*27校中1校が同項目に無回答だったため、26校の平均値を記載

26校平均 全国平均 全国平均比
(単位=ポイント)
最後まで解答を書こうと努力した 83.6% 80.1% 3.5
解答しなかったり、解答を書くことを途中で諦めたりしたものがあった 14.2% 16.9% -2.7
全く解答しなかった 1.9% 2.7% -0.8

新聞読む子ほど学テ平均正答率が高い!

NIE実施校の全国学力テスト平均正答率と新聞閲読頻度の関係を見ると、小・中学校ともに、新聞を週に1回程度以上読むと答えた児童生徒の割合が大きい学校ほど、平均正答率が全国平均より高くなりました。

NIEで「書く力」「読む力」が伸びる!

本調査に回答した小学校47校のうち43校から子供たちの「書く力」が、45校から「読む力」が伸びているとの回答が得られました。中学校では、52校中41校から「書く力」が、37校から「読む力」が伸びているとの回答がありました。

(※「伸びた」という回答には、「大幅に伸びた」「伸びた」「少し伸びた」を含む)

保護者からも好意的な反応

NIEに対する保護者の反応については、小学校は47校中41校から、中学校は52校中31校から「非常に好意的」「好意的」との回答が寄せられました。NIEに対する「否定的」な意見はありませんでした。「読解力の向上やさまざまな知識が得られるとの観点から好意的に受け止める保護者が多くなった」「新聞の情報をもとに感想を共有することで、親子の時間や会話が増えた」「NIEコーナーにPTAの保護者が立ち寄って新聞を読む光景も珍しくなくなった」などの回答が見られました。

NIEの学習効果 さらなる可視化に向けて

今回のアンケートに回答できなかった学校であっても、日ごろNIEに取り組んでいる学校に対しては、NIEの学習効果の調査をお勧めします。全国学力テストの結果を用いて、NIEの取り組み前後で児童生徒の学力や意識がどのように変化したかを数字で表すことができます。学校内でのNIE実践の効果を表す指標のひとつとして、ぜひご活用ください。